この度、当科の木島敏樹先生が筆頭著者として、当院心臓血管外科および麻酔科の先生方と共著で執筆した症例報告が、IJU Case Reports誌に掲載されましたので、ご報告いたします。
本論文は、腎臓がんの手術中に発生した重篤な合併症に対し、心臓血管外科および麻酔科との連携によって救命し得た症例の報告であり、獨協医科大学病院の総合力を示す内容となっております。
論文の概要
タイトル: Successful Emergency Cardiac Surgery for Intraoperative Pulmonary Artery Tumor Embolism During Renal Cell Carcinoma Surgery: A Case Report
(腎細胞癌手術中の術中肺動脈腫瘍塞栓症に対する緊急心臓手術の成功例)
掲載誌: IJU Case Reports
症例の背景と、手術中の予期せぬ事態
腎臓がんは進行すると、がん細胞が血管(静脈)の中に伸びていき、「腫瘍栓(しゅようせん)」と呼ばれる塊を作ることがあります。今回の患者様は、この腫瘍栓が心臓に向かう太い静脈(下大静脈)にまで達しており、さらに術前の段階で、その一部が剥がれて肺の血管(左肺動脈)に詰まっている状態でした。
手術中、下大静脈内の腫瘍栓が遊離し、右肺動脈を閉塞したことで、患者様は術中に心停止に至りました。
このような予期せぬ事態に対し、麻酔科による心臓マッサージと全身管理のもと、泌尿器科にて速やかに腎摘除を完了しました。その後、直ちに心臓血管外科による人工心肺を用いた緊急手術が行われ、肺動脈内の腫瘍栓を摘出しました。結果として、患者様は後遺症なく無事に退院されました。
獨協医科大学病院の総合力
本症例は、術中の経食道心エコーによる迅速な状況把握と、泌尿器科、麻酔科、心臓血管外科の緊密な連携により救命し得た事例です。
栃木県最大のサージカルセンターである獨協医科大学病院では、このような緊急時においても、各診療科が協力して対応できる体制が整っております。
木島先生、論文掲載誠におめでとうございます。この貴重な経験を広く共有することで、今後のより安全な医療の提供に繋がることを期待しております。