この度、当科の稲葉咲葵先生が筆頭著者として執筆した症例報告が、国際的な医学雑誌である「Urology Case Reports」に掲載されましたので、ご報告いたします。
今回の報告は、極めて稀な原発性腎神経内分泌腫瘍(NET G3)に対する新しい治療法の有効性を示した、非常に貴重な内容です。
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論文の概要
タイトル: A case of renal primary neuroendocrine tumor (G3) in which 177Lu-PRRT was effective for disease control (177Lu-PRRTが病勢コントロールに有効であった腎原発神経内分泌腫瘍(G3)の一例)
掲載誌: Urology Case Reports
研究の背景と臨床的意義
腎臓に原発する神経内分泌腫瘍(NET)は非常に稀な疾患であり、特に悪性度の高い「G3」に分類される進行例に対しては、確立された治療法がありませんでした。
今回、稲葉先生が報告したのは、30歳の若さでこの稀な疾患と診断され、既存の治療法では効果が見られなかった患者様に対し、「ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)」という新しい治療法を試みた症例です。
PRRTは、腫瘍細胞が持つ特有の目印(ソマトスタチン受容体)に結合する薬剤に放射性物質を標識し、いわば「標的を定めて内側から放射線を照射する」治療法です。今回の症例では、このPRRT(177Lu-DOTATATE)を施行したところ、治療開始後に一時は増大傾向にあった腫瘍の進行が停止し、その後約1年間にわたり病状を安定させることに成功しました。この間、患者様は重篤な副作用もなく、良好な生活の質(QOL)を維持することができました。
本症例報告は、治療選択肢が限られている悪性度の高い腎原発神経内分泌腫瘍に対して、PRRTが有効な治療オプションとなり得ることを世界に示した、大変意義深いものです。
最後に
獨協医科大学泌尿器科では、このような稀な疾患に対しても、最新の知見と技術を駆使し、患者様一人ひとりに最適な医療を提供できるよう挑戦を続けてまいります。
稲葉先生、論文掲載誠におめでとうございます。この度の貴重な報告が、同様の疾患に苦しむ患者様の未来を照らす一助となることを確信しております。今後のさらなるご活躍を医局員一同、心より応援しております。