特徴的な治療

ロボット支援下手術

当科では、2012年より手術支援ロボット(ダヴィンチSサージカルシステム)を用いたロボット支援下手術を施行しております。現在は、最新型のダヴィンチXiシステムを使用しています。
前立腺がんに対するロボット支援下前立腺全摘術、腎がんに対するロボット支援下腎部分切除に加え、2021年より膀胱がんに対するロボット支援下膀胱全摘除も導入しております。
さらに2022年からは、腎がんに対する根治的腎摘除術、腎盂尿管がんに対する腎尿管全摘除術、副腎腫瘍に対する副腎摘除術もロボット支援下手術を開始しております。
当科では、助教以上の全てのスタッフが、ロボット手術資格(Certificate)を取得しております。

 

ダヴィンチシステムの特徴

内視鏡カメラは高解像度かつ立体画像(3D)を撮影できるため、術者は拡大された立体映像を見ながら手術を行います。
ロボット鉗子は関節を持っており、体内で自在に動きます。またロボット鉗子には手振れを制御する機能があり、精細な手技が可能です。

 

ロボット手術のメリット
  • 術中の出血量が少ない
  • 傷が小さい
  • 術後の痛みが少ない
  • 回復が早い
  • 機能の温存が向上

 

 

対象となる疾患・手術

 

現在、当科では以下の手術を施行しております。。
なお病状によっては、ロボット手術ができない場合があります。ロボット手術を希望される方は、まず担当医にご相談ください。

 

ロボット支援下前立腺全摘除術

前立腺は骨盤の底にあるため、従来の開腹手術では視野が悪く、摘除手術は難易度の高い手術でした。そのため出血量が多くなりやすく、また術後の尿漏れ(尿失禁)や勃起障害などの機能的障害が問題でした。
ロボット手術では、骨盤の底にあっても拡大された立体画像を見ながらロボットアームで人間の手を凌駕する精細な手術ができるため、前立腺をきれいに摘出し、かつ周囲の筋肉や神経を傷つけない手術が可能となりました。従来の開腹手術に比べて、出血量の減少、排尿機能および勃起機能の温存、そして制がん率の向上が認められています。
当科では2012年よりロボット支援下前立腺全摘除術を開始し、現在はほとんどの前立腺全摘除術をロボット手術にて行っています。

 

ロボット支援下腎部分切除術

腎がんの手術療法として、従来のは片側の腎臓を全て摘出する根治的腎摘除術が行われていましたが、近年では腫瘍のみを切除し、残りの健康な部分の腎臓を温存する腎部分切除術が行われるようになりました。
腎部分切除においては、腫瘍を取り残すことなく完全に切除すること、一時的に血流を遮断する場合はその時間を短くすること、が重要となります。
ロボット手術では、身体的な負担を軽減しつつ、

  • 拡大された立体画像を見て腫瘍に切り込むことなく切除する
  • ロボット鉗子による精密な切開や縫合操作により、血流遮断時間を短縮する
  • 気腹を用いることで、出血量を少なくする

といった利点があります。
ロボット支援下腎部分切除術は2016年より保険適応となっています。

 

ロボット支援下膀胱全摘除術

筋層まで浸潤した膀胱がんや、BCG膀胱内注入療法などの薬物治療に治療抵抗性の悪性度の高い膀胱がんに対する標準治療は膀胱全摘除術です。
膀胱全摘除術は、以前から開腹手術で広く行われてきましたが、手術中の出血量が多いこと、傷が大きく術後の回復に時間がかかること、周術期の合併症の発生率が比較的高いことなど、改善すべき課題が多い術式と考えられていました。
ロボット手術では、立体画像により腫瘍と臓器の正確な位置関係をとらえ、ロボット鉗子により膀胱周囲組織の精密な切開やリンパ節郭清などの手技をより正確に早く行うことが可能です。
また傷口が小さいため、術後の痛みが少なく、術後の回復も早まり、早期の社会復帰につながります。
ロボット支援下膀胱全摘除術は2018年より保険適応となっており、当科では2021年から開始しています。

 

ロボット支援下根治的腎摘除術・腎尿管全摘術・副腎摘除術・副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫)摘除術

2022年4月、これまで主に腹腔鏡下手術で施行されていた4術式が、ロボット支援下手術として新たに保険収載されました。

  • 根治的腎摘除術
  • 腎尿管全摘除術
  • 副腎摘除術
  • 副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫)摘除術

これらの術式においても、ロボット支援下手術の特徴である、精細な立体画像による観察下でのロボット鉗子による精緻な手術手技により、さらに低侵襲な手術が可能となり、早期の社会復帰につながります。
当科では2022年4月より、これらのロボット支援下手術を開始しています。