11月16日に開催された第105回日本泌尿器科学会栃木地方会において、稲葉咲葵先生が発表した演題「放射性核標識ペプチド療法でSDを維持した腎臓原発神経内分泌腫瘍の一例」が奨励賞を受賞いたしました。

 

今回の発表は、腎臓原発の神経内分泌腫瘍という極めて稀な疾患に対して、放射性核標識ペプチド療法の有効性を報告した非常に貴重な症例報告でした。

 

神経内分泌腫瘍自体が稀な疾患でありながら、腎臓を原発とする症例の報告は文献上でも極めて少なく、診断や治療に関する知見が限られているのが現状です。稲葉先生が経験された症例は、30歳男性で左腰背部痛を主訴として受診され、当初は腎動脈瘤自然破裂が疑われましたが、精密検査により腎臓原発の神経内分泌腫瘍と診断されました。

 

この稀少な疾患に対して、稲葉先生は放射性核標識ペプチド療法を選択し、治療により病勢の安定化(SD:Stable Disease)を維持することに成功しました。放射性核標識ペプチド療法は、ソマトスタチン受容体を標的とした分子標的治療の一つで、神経内分泌腫瘍に対する新しい治療選択肢として注目されています。

 

今回の発表では、症例の詳細な経過とともに、腎臓原発神経内分泌腫瘍に関する文献的考察も含まれており、この稀少疾患に対する理解を深める貴重な学術的貢献として高く評価されました。参加された先生方からも、稀少疾患への取り組みと新しい治療法の有効性を示した報告として多くの関心が寄せられました。

 

このような稀少疾患に対する積極的な診療と、その成果を学術的に発表する姿勢が評価され、今回の奨励賞受賞につながりました。

 

稲葉咲葵先生、おめでとうございます。今後のさらなるご活躍を期待しております。