この度、当科の名越晶彦先生が、2025年11月29日に開催された第107回日本泌尿器科学会栃木地方会において、奨励賞を受賞されました。
今回の受賞は、腎細胞癌の脳幹転移という非常に稀で治療が困難な症例に対する、卓越した治療戦略と熱意ある発表が高く評価されたものです。
受賞対象となった症例について
患者様は、腎細胞癌が脳幹に転移したことにより、意識は清明なものの四肢が麻痺してしまう「閉じ込め症候群」という極めて重篤な状態にありました。一般的に予後が非常に厳しい状況でしたが、私たちは諦めることなく、多角的なアプローチで治療に臨みました。
治療の工夫と成果
治療の核心となったのは、以下の二つの工夫です。
1.薬剤投与法の工夫: 内服が困難な患者様に対し、抗がん剤であるレンバチニブ(レンビマR)を懸濁液にして胃管から投与するという方法を考案しました。
2.集学的治療の実践: 脳転移に対しては、ガンマナイフによる精密な放射線治療を行いました。
これらの治療を組み合わせた結果、脳転移巣は著明に縮小し、患者様の神経症状も劇的に改善しました。これにより、原発巣である腎臓の腫瘍を摘出する手術(腫瘍減量腎摘除術)も無事に施行することができ、患者様のQOL(生活の質)を大きく向上させることができました。
受賞理由と今後の展望
このような転移性腎癌に対する豊富な治療経験に裏打ちされた独創的な治療戦略と、学会での名越先生の的確な質疑応答が審査員の先生方から高く評価され、今回の受賞に至りました。
獨協医科大学泌尿器科では、今後もこのような困難な症例に対して、常に最善の医療を提供できるよう、チーム一丸となって臨床研究と治療技術の向上に努めてまいります。そして、その成果を学会発表や論文を通じて広く社会に発信し、泌尿器科医療の発展に貢献していく所存です。
名越先生、この度の受賞、誠におめでとうございます。今後の更なるご活躍を医局員一同、心より期待しております。

