この度、当科の今里直樹先生が国立がん研究センター東病院から報告された症例報告論文が、2025年度の「IJU Case Reports Award」を受賞されました。
本Awardは、日本泌尿器科学会の公式英文誌の一つである「IJU Case Reports」に掲載された症例報告の中から、年間で特に優れた2報のみに贈られる大変名誉ある賞です。

受賞論文の概要

タイトル: Salvage robot-assisted radical prostatectomy with pelvic lymph node dissection for radiorecurrent prostate cancer in a patient with a previous history of rectal cancer surgery
(直腸癌手術歴のある放射線治療後再発前立腺癌患者に対する、骨盤内リンパ節郭清を伴う救済ロボット支援前立腺全摘除術)
掲載誌: IJU Case Reports

論文の臨床的意義

近年、大腸がんと前立腺がんの両方に罹患される患者様が増加しています。本論文は、過去に直腸がんの手術を受け、さらに前立腺がんに対して放射線治療を受けた後に再発をきたした患者様に対する、非常に難易度の高い手術(救済ロボット支援前立腺全摘除術)の成功例を報告したものです。
直腸がんの手術後や放射線治療後は、骨盤内に強い「癒着(臓器同士がくっついてしまうこと)」が生じます。そのため、前立腺を摘出する際、隣接する腸管を損傷するリスクが非常に高くなります。
今里先生らの手術チームは、この困難な状況に対し、術中に直腸診(指での触診)や経直腸的超音波検査(エコー)を駆使して腸管の輪郭を正確に把握しながら、癒着を安全に剥離する工夫を行いました。その結果、腸管を損傷することなく、無事に前立腺とリンパ節の摘出を完了し、患者様は術後良好な経過をたどられました。
本報告は、直腸がん手術歴のある患者様に対する前立腺がんの救済手術において、術中超音波検査などが安全な手術操作に極めて有用であることを示した、臨床的に大変価値の高いものです。
本論文の執筆にあたり、多大なるご指導とご鞭撻を賜りました国立がん研究センター東病院の増田均先生をはじめ、関係者の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。

獨協医科大学泌尿器科として2回目の快挙

当科からの同賞の受賞は、2022年4月に横山愛先生が受賞(エストロゲン産生副腎皮質癌の症例報告)して以来、2回目の快挙となります。
今里先生、この度の栄えある受賞、誠におめでとうございます。これからもそのリサーチマインドを絶やさず、臨床・研究の両面でますますご活躍されることを、医局員一同、心より期待しております。