女性の不妊検査について紹介します。
妊娠しにくい原因がないか、さまざまな検査を行います。
月経周期に応じて行う検査もあるため、基本の検査をひと通り終えるには通常1~2カ月が目安です。
※必要な検査は、患者様の状況により異なります。
基本の検査
基礎体温の測定
各種ホルモンの分泌がととのっていれば、基礎体温表は月経開始から排卵時期までは低温期(卵胞期)、排卵のあとは高温期(黄体期)という二相性を示します。また、月経開始から次の月経開始までの期間は26~35日が目安です。
※受診時に基礎体温表をお持ちください。
基礎体温と卵胞の変化
超音波(エコー)検査
子宮の形や卵の育ち具合、子宮内膜の厚さなどを調べます。
腟内に細い棒状の超音波の器械(プローブ)を挿入して、モニターに映し出された画像から子宮や卵巣の状態を観察します。
排卵に向けて卵がどの程度育っているかを確認したり、排卵したかどうかの確認にも用います。
ホルモン検査
排卵や妊娠・出産に関係のあるホルモンの分泌量を血液検査で調べます。
月経周期(低温期・排卵期・高温期)に応じて、測定するホルモンが異なります。
初診で調べる項目
●プロラクチン(PRL・乳汁分泌ホルモン)
●甲状腺機能(TSH、FT4)
月経周期3~6日目頃(低温期)に調べる項目
●黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、テストステロン
排卵期に調べる項目
●卵胞ホルモン(E2・エストラジオール)
2回目以降に調べる項目
必要に応じて検査をします(自費)。
●感染症、末梢血、クラミジア、風疹抗体価(HI)、抗精子抗体など。
●空腹時の血糖とインスリン
インスリンは糖尿病にかかわるホルモンですが、妊娠にも関連します。
●AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査
卵巣に残る卵子の個数(卵巣予備能)をある程度知る目安となる検査で、治療の参考にします。
ヒューナーテスト(性交後試験)
腟内に射精された精子が子宮腔内に到達できるかどうか、その動きや数を調べます。
排卵期に性交渉をもった後に、12時間以内に外来に来てもらい、頸管粘液を採取して、そこに運動精子がどの程度いるかを調べます。
十分な運動精子が見られない時は再検査を行います。
子宮卵管造影検査
卵管の通過性や卵管采(卵管の先端部分)周囲の癒着の有無や程度を知ることができます。
月経後の低温期に実施します。検査後、数周期は妊娠しやすくなります。
検査は、2段階にわけて行います。2回目の検査を行うため2時間待つか、翌日(翌々日)に2回目の検査を行うやり方があります。
1回目は、細いチューブを子宮内に入れて、ヨードの造影剤を注入してレントゲンを撮影します。これにより、子宮内腔の形状や卵管の通過性を検査します。
2回目は、腹部レントゲン撮影をします。腹腔内に広がった造影剤のパターンにより、卵管采周辺の癒着の有無を判定します。
子宮卵管造影検査 正常な例
卵管通水検査
子宮内に生理食塩水を注入し、超音波検査で子宮内、腹腔内を観察します。
月経後の低温期に実施します。
放射線や造影剤を使用しない検査で、ヨード剤などのアレルギーがある方でも行えます。ただし、卵管そのものの描出はできず、左右どちらかの卵管が閉じていても判別はできません。
特殊な検査
子宮鏡検査
子宮専用の内視鏡(太さ3mm)を子宮内に挿入し、子宮の内腔の状態を観察します。
月経終了後の低温期に実施します。
下垂体負荷試験・その他の内分泌検査
排卵がない、排卵があってもその時期が遅いなどの排卵障害の場合、また黄体機能が充分でないなどの場合に、原因を調べるために行います。
脳の下垂体を刺激する注射を投与する前後に採血し、下垂体から分泌されるホルモンの反応を観察します。
不育症検査
流産や死産を繰り返した場合に行う検査です。
[検査項目]免疫検査、ホルモン検査、血液凝固検査、染色体検査、子宮鏡検査など。
腹腔鏡検査・腹腔鏡下手術
卵管や卵巣の検査および治療です。全身麻酔下で行い、入院が必要です。
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