完全鏡視下左心耳閉鎖術+肺動脈隔離術

ウルフ-オオツカ法と呼ばれる手術で、心房細動という不整脈に対する内視鏡を用いた低侵襲心臓手術治療になります。術後は脳梗塞を含めた心原性塞栓症のリスクが下がり、そのため致命的な出血のリスクとなる抗凝固薬を中止する事が可能となります。


心房細動になると心臓の中に血栓ができやすくなります。症状はありませんが、一度その心臓の中の血栓が血流に乗って心臓外へ飛んでいくと脳梗塞、心筋梗塞、腸管虚血等の致命的な重症塞栓症になる可能性があります。 そのため心房細動の患者様は、上記の様な重症塞栓症を予防する為に、血液をサラサラにする薬、抗凝固薬という薬を毎日内服する必要があります。しかしこの薬は逆に出血しやすく、脳出血、消化管出血等の致命的な出血のリスクが伴います。

手術方法

心房細動による心原性塞栓症の原因の95%は左心耳にある事がわかってきました。この左心耳を外科的に閉鎖します。左心耳を外側から閉鎖します。

心房細動の原因の70%が肺静脈にあると言われ、その肺静脈の周りを専用の器械で焼灼し、異常な電気信号を遮断します。心房細動に罹患している期間にもよりますが、高い確率で心房細動を治す事ができます。
手術時間は左心耳切除のみであれば30~60分程度、外科的アブレーションを加えても1時間〜1時間半程度で、大きな創がないため術後の痛みも軽く、入院期間は5日前後となります。

適応となる方

① 脳梗塞のリスクを減少させ、抗凝固薬を中止したい方。
② 抗凝固薬を内服していても脳梗塞等の心原性塞栓症になった事がある方。
③ 抗凝固薬の副作用の鼻出血、血尿、消化管出血、脳出血などの出血で困っている方。
④ 抗凝固薬を生涯毎日内服継続するのが習慣的、金銭的に困難な方。
⑤ カテーテルアブレーションで治療困難だった方。
⑥ 症状があり、将来的な心臓手術を避けるために、心房細動治療を希望する方。