虚血性心疾患(狭心症/心筋梗塞)
心臓・血管内科/循環器内科 教授
佐久間 理吏
心臓・血管内科/循環器内科 教授
佐久間 理吏
心臓の筋肉に酸素や栄養を届けている血管を「冠動脈」といいます。冠動脈は、大動脈の付け根から出て心臓の表面を走る、直径3〜4mmほどの細い血管です。この冠動脈が動脈硬化などによって狭くなったり、完全に詰まったりすると、心臓の筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなります。その結果、胸の痛みなどの症状が起こり、重症の場合には心臓の働きが弱くなって、全身へ血液を送るポンプ機能が低下することがあります。このような病気を「虚血性心疾患」と呼び、主に「狭心症」と「心筋梗塞」に分けられます。

狭心症や心筋梗塞では、狭くなった冠動脈を再び広げ、血流を回復させることが重要です。当院では、足の付け根(鼠径部)や手首の動脈から「カテーテル」という細い管を挿入し、冠動脈まで進めます。そして、バルーン(風船)やステント(金属の網状の筒)を用いて、狭くなったり詰まったりした血管を広げる治療を行っています。この治療を「PCI(冠動脈カテーテル治療)」といいます。

特に急性心筋梗塞では、発症後、いかに早く治療を受けられるかが、命やその後の心臓機能に大きく関わります。当院では、心筋梗塞の患者さんを迅速に受け入れ、速やかに診断・治療を行えるよう、24時間365日体制で対応しています。

また、最新の医療機器を積極的に導入し、安全で質の高い治療に努めています。重症患者さんの循環を補助する「Impella(インペラ)」という補助循環装置も導入しており、これまでにショック状態の患者さん200例以上に使用してきました。さらに、PCIは累計10,000例以上の実績があります。

狭心症では、単に血管が狭いというだけで治療を行うのではなく、「FFR(冠血流予備量比)」という検査を用いて、本当に心筋虚血、つまり心臓の筋肉が酸素不足の状態になっているかを正確に評価したうえで、適切にPCIを実施しています。PCIが必要ない場合でも、そのまま経過を見るのではなく、高血圧・糖尿病・脂質異常症など、動脈硬化を進める危険因子を評価し、薬物治療や生活習慣の改善を通じて、病気の進行予防に取り組んでいます。

さらに近年は、「冠動脈に大きな狭窄がないにもかかわらず胸痛を起こす病気」にも注目が集まっています。当院では、血管がけいれんして血流障害を引き起こす冠攣縮性狭心症の診断に加え、CFR(冠血流予備能)やIMR(冠微小血管抵抗指数)などの検査を行い、心臓の細い血管の異常である冠微小循環障害についても診断・治療を行っています。胸痛の原因を丁寧に調べ、患者さん一人ひとりに適した治療を提供できるよう努めています。
これからも、患者さん一人ひとりに適した診断と治療を提供するとともに、救急医療にも迅速に対応し、栃木県の循環器診療を支える存在として尽力してまいります。

心臓・血管外科 主任教授
川村 匡
心臓・血管外科 主任教授
川村 匡
冠動脈バイパス術とは、心臓を養っている動脈(冠動脈)が動脈硬化で狭くなったり、閉塞してしまった利した部分を直接治療するのでなく、その先のきれいな部位に自己の血管を使って吻合し、不足している血流を新たに回復させる方法です。
例えるなら渋滞が頻繁に生じている道に、渋滞のないところへバイパス道路つまり迂回路を作ります。
当科では24時間体制で対応ができ、いつでも緊急の冠動脈バイパス術を行う体制が整っております。また手術の適応に関しては、内科医とカンファレンスで、冠動脈病変の程度、患者さんの全身状態、並存する疾患など考慮し、患者さんにとって最善な治療を選択しています。
特徴
- 1. 急性冠症候群主に急性心筋梗塞に関しては、24時間PCIが治療可能であり、必要に応じて緊急手術ができる体制となっています。
- 2. 急性心筋梗塞の場合、急激な心機能の低下に伴う心原性ショックに対し循環補助として、Impella、VA-ECMO、IABPが常備してあり、緊急での治療でも使用できます。
- 3. 治療として、内科のPCI、外科のCABGと分けず、患者さんに合わせた最善の治療(手術、カテーテル治療、ハイブリッド手術) を提供致します。
- 4. 治療後は、救命病棟や集中治療室にて術後管理を行い、また早期のうちから心臓リハビリを開始し、1日も早い社会復帰を目指しています。