腎・泌尿器
主に大和田、加納、鷹木が診療を担当しています。栃木県内各地域からご紹介いただいた患者さんを診療しています。
疾患の内訳は、ネフローゼ症候群、急性・慢性糸球体腎炎、無症候性血尿・蛋白尿、慢性腎疾患(CKD)、末期腎不全(腹膜透析)、先天性腎尿路異常(CAKUT)、嚢胞性腎疾患、尿細管疾患、二分脊椎症、尿路感染症、夜尿症、排便排尿障害などです。
腎生検は毎年約10数人行っており、2020年12月までに総計243症例を経験しております。当院では基本的に1歳以上は静脈麻酔と局所麻酔を併用し、超音波ガイド下で経皮的針生検を行なっております。また加納が那須赤十字病院小児科で毎週木曜日に腎臓外来をしており、県北の患者さんにおいては当院での腎生検後は那須赤十字病院で定期フォローを行うことにより遠方への通院の負担を減らすようにしております。
腎代替療法(腹膜透析、血液透析、腎移植)に関しては、国立成育医療センターや東邦大学医療センター大森病院腎センターなどと連携をとりながら診療を行っております。また腎泌尿器疾患の外科治療に関しては、当院泌尿器科や排泄機能センター、自治医科大学小児泌尿器科と連携を取りながら診療を行っております。
胎児超音波や尿路感染症などで発見される水腎症をはじめとした先天性腎尿路異常(CAKUT)に対しては、超音波検査や排尿時膀胱尿道造影検査(VCUG)、DMSA腎シンチグラフィー、利尿レノグラム、MRI・MRUなどを行える検査体制を当院の小児放射線科医と協力しながら整えております。
二分脊椎症に関しては、当院脳神経外科や排泄機能センターとともに診療にあたっております。神経因性膀胱では、治療方針決定や効果治療判定のため、膀胱内圧測定検査などの画像評価を行っております。また導尿指導や排便管理として洗腸指導も行っています。
夜尿や昼間尿失禁も多く紹介いただき、細かな生活指導の他、ミニリンメルトやアラーム療法、抗コリン薬、ウロセラピーなどで治療を行っております。難治例においては当院排泄機能センターと協力して診療にあたっております。
臨床試験に関しては、日本小児腎臓病臨床研究グループ(JSKDC)による多施設共同研究を継続しております。現在は、「JSKDC10:小児期発症のネフローゼ症候群に対するIDEC-C2B8(リツキシマブ)の多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化並行群間比較試験」、「JSKDC11:小児期発症難治性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を対象としたIDEC-C2B8(リツキシマブ)とステロイドパルス療法の併用療法の多施設共同単群臨床試験」に当院からも患者さんに参加していただいております。また国立成育医療研究センターを中心とした「ステロイド薬または免疫抑制薬内服下での弱毒生ワクチン接種の多施設共同前向きコホート研究」や神戸大学小児科を中心とした「小児ネフローゼ症候群の疾患感受性遺伝子及び薬剤感受性遺伝子同定研究」にも参加しております。いままでの臨床研究の成果は論文となり、新薬の保険適応や病態解明につながっており、当院の患者さんの臨床経験も小児腎臓病の治療発展に貢献できております。
学会活動は、日本腎臓学会、日本小児腎臓病学会、小児難治性腎疾患治療研究会、日本小児高血圧研究会、日本小児腎不全学会、日本逆流性腎症フォーラムなどに例年参加し、当院の臨床経験および臨床研究の結果を発表、また最新の医学情報の取得に努めています。
大和田と加納は栃木県立学校腎臓検診判定委員会の一員、大和田は宇都宮市と栃木市学校腎臓検診委員会の一員、日本腎臓病学会小児CKD(慢性腎臓病)対策栃木県代表委員として、加納は日本小児腎臓学会代議員、日本逆流性腎症フォーラム幹事、栃木県児童生徒健康管理委員会委員として活動しています。また当院は栃木県内の数少ない小児腎生検可能施設であり、学校検尿の三次検診施設としての役割を果たしております。
加納と鷹木は栃木県ネフローゼ友の会(小児ネフローゼ症候群の家族会)に毎回参加し、学会情報やガイドライン、臨床試験などの最新情報を栃木県内の患者さんとその家族にお届けできるように努めております。