小児外科の特色
特色
栃木県内及び近隣の他県からも外科的疾患をもつあるいは疑われる赤ちゃんの搬送を受けております。
総合周産期母子医療センターの新生児科医師と協力して赤ちゃんの周術期管理を行っています。
また、定期的に産科、新生児科と小児外科で周産期カンファレンスを行っており、胎児診断された外科疾患についても産科、新生児科と協力して母体搬送も受けております。
また、総合周産期母子医療センターの守備範囲以外に、近隣の小児科、産科の開業医の先生からの小児外科への直接のご紹介も受けております。
当施設の小児外科は日本小児外科学会認定施設であり、日本周産期・新生児学会認定外科医が2名在籍しており、栃木県の新生児外科医療の砦の1つとしての役割を果たしています。
対象疾患(総合周産期母子医療センター関連の疾患)
新生児期に手術が必要な疾患 |
食道閉鎖、小腸閉鎖、腸回転異常症、壊死性腸炎、胎便性腹膜炎、鎖肛(直腸肛門奇形)、横隔膜ヘルニア、腹壁異常(臍帯ヘルニア、腹壁破裂)、仙尾部奇形腫など |
胎児診断されることがある疾患 |
横隔膜ヘルニア、肺嚢胞性疾患、胎児腸管拡張、胎児腹部腫瘤・嚢胞、食道閉鎖など |
新生児期以降に 手術になることが多い疾患 |
胆道閉鎖症、ヒルシュスプルング病、肺嚢胞性疾患、腹部腫瘤(水腎症、胆道拡張症、神経芽腫、後腹膜奇形腫など)、外鼠径ヘルニア、停留精巣、尿道下裂など |
新生児期に発見されることが あるが手術になることは 多くない疾患 |
臍ヘルニア、陰嚢水腫、真性包茎、リンパ管腫・血管腫、卵巣嚢腫など |
症例・治療
新生児外科症例(2017~2022年)
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2017年 |
2018年 |
2019年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
新生児入院数 |
30例 |
21例 |
21例 |
21例 |
19例 |
26例 |
新生児手術数 |
28例 |
21例 |
20例 |
24例 |
13例 |
18例 |
(日本小児外科学会では、新生児入院年10例以上、手術数5例以上が学会認定施設の条件となっています。当施設は十分な経験のある施設になります)
主な新生児疾患の症例数(2017~2022年)
食道閉鎖症 |
8例 |
小腸閉鎖症(十二指腸閉鎖症含む) |
15例 |
肥厚性幽門狭窄症 |
14例 |
腸回転異常・小腸捻転 |
14例 |
壊死性腸炎 |
6例 |
消化管穿孔 |
7例 |
胎便関連性腸閉塞 |
9例 |
ヒルシュスプルング病・類縁疾患 |
9例 |
鎖肛(直腸肛門奇形) |
19例 |
横隔膜ヘルニア |
6例 |
腹壁異常(臍帯ヘルニア・腹壁破裂) |
5例 |
トピック
創の目立たない手術
近年、臍からのアプローチでの手術を積極的に行っています。以前は、十二指腸閉鎖や腸回転異常症の手術では上腹部横切開で行っていましたが、近年では可能な症例では臍上部弧状切開やΩ型切開で行っています。
また、肥厚性幽門狭窄症や卵巣嚢腫の手術では新生児でも細径の鉗子(かんし)を使って腹腔鏡手術を行っています。
また、新生児期に診断されたHirschsprung病や中間位・高位鎖肛でも根治術は腹腔鏡手術を行っております。
新生児疾患の中の腹壁破裂や臍帯ヘルニアでは、欠損した腹壁をテープ使用により縫合せずにほぼ創を残さず治すsutureless法という術式も採り入れています。
胎児(出生前)診断
胎児超音波検査で外科的疾患が診断された場合は、産科、新生児科、放射線科(MRI検査)、小児外科の4科が総合周産期母子医療センターに母体搬送された患者さんに関わります。
母体・胎児ともに被爆のない安全な出生前検査(胎児超音波、母体MRIなど)を行い、必要時は出生前の胎児の病態や今後の予定に関する説明をし計画分娩を行います。
新生児医療の指標となる先天性横隔膜ヘルニアにおいても良好な成績をあげています。
患者さま、ご家族の皆様へ
我々小児外科チームは、患者さまとご家族皆様の疑問点やご要望に耳を傾け、納得のいく治療を進められるように努力しています。
また、小児科や新生児科、産婦人科、放射線科、麻酔科などとの連携も密に取りながらよりよい医療を行っていきます。
何かお聞きになりたいことがございましたら、お気軽にご相談ください。