• TOP
  • エビデンスにもとづく薬物療法

EVIDENCE-BASED DRUG THERAPY

治療法

令和4年 入院統計

獨協医科大学精神神経科 病棟医長
佐藤 由英

 令和4年1月~12月の入院患者統計について報告させていただきます。 入院患者総数は206名(男性74名、女性206名、平均年齢48.2±21.0歳)でした、代表的な疾患の比率をみますと、 気分障害圏が35.9%(前年度37.9%)、統合失調症圏が27.2%(前年度23.2%)と前年度の統計と概ね同様の傾向でありました。当院は総合病院であることから、身体疾患を合併している症例も多く、必要に応じて当該診療科と連携を図り、身体・精神両面にわたった総合的な治療を行っております。また、栃木県の三次救急を担う救命救急センターと連携し、重篤な身体疾患を合併する精神疾患患者にも対応しております。具体例として、自殺企図症例などの救急患者に対して、救命救急センターと連携して診療にあたっています。必要があれば、当科での入院治療を継続しております。令和2年4月から、自殺企図者の再企図予防のために、日本自殺予防学会の所定の研修を受講した精神科医、看護師、精神保健福祉士による救急患者精神科継続支援を開始し、令和2年度に69人、令和3年度に50人、令和4年(12月末日時点)に56人の介入を行っています。一般身体科病棟への入院患者の精神症状に対して、精神科リエゾンチームによる回診を行い、主科と連携して診療にあたり、令和2年度には323人、令和3年度には629人、令和4年度(12月末日時点)には774人の介入を行うなど、リエゾン・コンサルテーションには近年特に積極的に取り組んでいます。認知症患者に対する専門的な支援を行うためのオレンジチームも活動しており、院内他科との連携、多職種連携を積極的に進め、令和2年度に1123人、令和3年度に1674人、令和4年度(12月末日時点)に743人の介入を行っています。また、治療抵抗性統合失調症に対して、血液・腫瘍内科と連携し、クロザピン治療の導入を行っており、令和4年1月~12月は新規導入4人(前年度3人)の入院治療を行いました。さらに当院は平成29年3月に、日本総合病院精神医学会の電気けいれん療法(ECT)研修施設として認定されており、麻酔科医の協力の下、ECTを積極的に実施しております。令和4年は計33名に対し、延べ303件施行しました。また、令和3年2月に、NeuroStar TMS 治療装置を病棟に設置し、令和3年4月から反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の開始しており、令和3年度に計2名に対し述べ51件、令和4年度(12月末日時点)に計1名に対し30件を施行しました。このように身体合併症があり身体科との連携が必要な症例や、ECT、rTMS 療法が適応となる症例、血液内科と連携しながらクロザピンによる治療が必要な症例は大学病院精神科が対応していくべきであり、今後も積極的に対応していきたいと考えております。この様に基幹病院として、他の医療機関と連携を保ちつつ栃木県全般の医療・福祉を向上させるよう努めてまいります。当院での治療が望ましいとご判断頂きました症例は、是非ご紹介いただけますようお願い申し上げます。一方で、当院の精神科病棟は開放病棟であり、著しい興奮状態にある急性期の症例を常時受け入れられる環境でありません。また、当院での急性期治療が終了した後に長期的な継続治療が必要な症例につきまして、当院から転院依頼をさせていただく場合があり、その際には各関連病院の先生方には是非に御協力をいただけると幸いです。
 大学病院精神科の特色を生かしつつ地域の精神科病院の要望に応えることが出来るように当院スタッフ力を合わせて尽力する所存です。諸先生方には今後も忌憚のないご意見を今後ともよろしくお願い申し上げます。

令和4年 入院患者診断分類(DSM-5)

  1. 2.9% 神経発達症群
  2. 27.2% 統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害
  3. 9.2% 双極性障害および関連障害群
  4. 26.7% 抑うつ障害群
  5. 1.9% 不安症群
  6. 2.4% 強迫症および関連症群
  7. 5.3% 心的外傷およびストレス因関連障害群
  8. 0.5% 解離症群
  9. 2.9% 身体症状症および関連症群
  10. 6.3% 食行動障害および摂食障害群
  11. 1.0% 睡眠-覚醒障害群
  12. 3.9% 物質関連障害および嗜癖性障害群
  13. 7.8% 神経認知障害群
  14. 1.9% パーソナリティ障害群

令和4年 外来統計

獨協医科大学精神神経医学講座
外来医長
岡安寛明

 各関連病院の先生方には日頃より、大変お世話になっております。令和4年の外来患者統計について報告させていただきます。令和4年1月~12月までの新患患者数1,126名(平均年齢50.4±23.8歳、男性497名、女性629名)、総再来患者数延べ31,900名(1カ月平均2,658.3名)となり、昨年度と比べて、新患患者数は微減(令和3年:1,192名)しておりますが、総再診患者数は増加(令和3年:30,954名)しております。これも外来を担当していただいている諸先生方の日頃の努力と、各関連病院の先生方の御協力・御指導のおかげと思っております。新患患者の内訳は、昨年同様、神経認知障害群が20.0%と多くを占めており、次いで抑うつ障害群となっております。児童思春期外来(第1、第3水曜日)を開設していることもあり、18歳未満の新患患者が年間113名と増加(令和3年:90名)しております。また、院内他科からの新患診察依頼数は、487件で全新患患者のうち43.3%にあたります。
 当科外来診療では、精神科疾患全般について診療を行っております。栃木県認定の認知症疾患医療センターとの兼務で、血液・画像検査、神経心理学的検査を行い、健常高齢者の物忘れと認知症との鑑別をして、認知症と診断された場合には、適切な治療や支援を提供しております。また、リエゾン・コンサルテーションにも積極的に取り組み、他の診療科に入院・通院中の患者さんに生じたせん妄などの精神症状についての相談にもフレキシブルに対応します。栃木県では唯一の認知行動療法専門外来では、うつ病や不安障害などの患者さんに対して精神科医が認知行動療法を行っております。診療内容に関する詳細は当講座のホームページ(https://dept.dokkyomed.ac.jp/dep-m/psy/)を参照してください。さらに流通規制が厳格化されたメチルフェニデート塩酸塩徐放錠を必要とする注意欠如・多動症患者への対応や、クロザピン導入後、継続処方が必要な治療抵抗性統合失調症患者への対応も行っております。自殺企図症例などの救急患者に対しても、救命救急センターやソーシャルワーカーと連携した診療を行っております。このように日々変化する情勢や多様なニーズに対応し、幅広い精神医学的治療を提供できるよう医局員一同、精一杯努めてまいりますので、同門の先生方にはこれまで同様に御支援の程、よろしくお願い申し上げます。

令和4年 外来初診患者診断分類(DSM-5)

  1. 7.9% 神経発達症群
  2. 7.7% 統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害
  3. 2.3% 双極性障害および関連障害群
  4. 15.8% 抑うつ障害群
  5. 6.4% 不安症群
  6. 1.7% 強迫症および関連症群
  7. 12.6% 心的外傷およびストレス因関連障害群
  8. 0.7% 解離症群
  9. 5.4% 身体症状症および関連症群
  10. 1.8% 食行動障害および摂食障害群
  11. 3.6% 睡眠-覚醒障害群
  12. 0.3% 性別違和
  13. 0.1% 秩序破壊的・衝動制御・素行症群
  14. 2.1% 物質関連障害および嗜癖性障害群
  15. 20% 神経認知障害群
  16. 1.8% パーソナリティ障害群
  17. 9.9% 精神疾患なし

2017-2021(5年分)外来患者数


他科依頼受診者患者数


2017-2021(5年分)ECT実施回数


令和2年 入院患者診断分類(DSM-5)

  1. 0.48% 神経発達症群
  2. 27.40% 統合失調スペクトラム障害および他の精神病性障害群
  3. 6.25% 双極性障害および関連障害群
  4. 34.62% 抑うつ障害群
  5. 0.96% 不安症群
  6. 2.40% 強迫症および関連症群
  7. 3.37% 心的外傷およびストレス因関連障害群
  8. 3.85% 身体症状症および関連症群
  9. 7.21% 食行動障害および摂食障害群
  10. 2.40% 物質関連障害群
  11. 7.69% 神経認知障害群
  12. 1.44% パーソナリティ障害群
  13. 0.96% てんかん
  14. 0.96% 精神疾患なし

令和2年 外来初診患者診断分類(DSM-5)

  1. 5.2% 神経発達症群
  2. 9.5% 統合失調スペクトラム障害および他の精神病性障害群
  3. 2.7% 双極性障害および関連障害群
  4. 18.4% 抑うつ障害群
  5. 7.4% 不安症群
  6. 1.5% 強迫症および関連症群
  7. 8.2% 心的外傷およびストレス因関連障害群
  8. 0.7% 解離症群
  9. 6.7% 身体症状症および関連症群
  10. 2.2% 食行動障害および摂食障害群
  11. 3.1% 睡眠ー覚醒障害群
  12. 0.1% 秩序破壊的・衝動制御・素行症群
  13. 2.0% 物質関連障害群および嗜癖性障害群
  14. 24.2% 神経認知障害群
  15. 1.4% パーソナリティ障害群
  16. 0.4% 医薬品誘発性運動障群および他の医療品有害作用
  17. 6.3% 精神疾患なし