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大学院教育・学位取得

『高いリサーチマインドを持ち、エビデンスを作り出す精神科医を目指して』

医師としての技術を、実践を通して身に着けてゆくことが研修の主眼の1つでありますが、さらに当講座では 臨床の現場で得られたデータなどを科学的に研究・分析していく、いわゆる臨床研究を通じて、問題解決能力を培う研修も行っています。臨床研究は、日頃の診療行為の中で生じた疑問を解決する能力を育てるだけでなく、臨床に役立つ知識や技術の更なる向上にも繋がりますので、希望者には、こうした臨床研究の指導も受けることができ、大学院進学や学位取得の指導も積極的に行っています。
学位取得後も、研究活動によって培った新しい発見に対する好奇心を重視し、生涯学び続けられる能力を修得させ、まさにエビデンスを利用するだけでなく、エビデンスを作り出す精神科医の育成を目指します。


大学院生の声

「精神科医になったけれど、私に一体何ができるのだろう」 

今思えばどんぐりの背比べなのですが、入局当初の私は、周囲と比較して取り立てて秀でたもののない自分に漠然とした不安と焦りを覚え、うまく治療が出来ず上級医に的確な指導をしてもらう度、「先生達は魔法使いなのかしら」等と思考停止にも近い感想を覚えたものでした。

精神科は、目に見えない部分を丁寧に聞き取り、組み立て、考察する学問です。これは簡単なようでいて、実はとても難しいことです。ましてやその考察に基づいて治療を行う以上、「なんとなく」ではなく、論理的で科学的根拠に基づいた診療を行わなくてはいけません。もちろん実質的な経験の積み重ねが物を言う部分は多数ありますが、私自身元々感覚で物事を考える傾向があるため、この作業に苦労を覚えたのは言うまでもなく、不得手と経験不足の中で思い悩む日々が続きました。

大学院に進んでみたらどうか?とアドバイスを受けたのはそんな時です。

私が携わらせて頂いている研究の一つに、バルプロ酸の副作用として知られる低カルニチン血症および高アンモニア血症の関連を調べるというものがあります。臨床患者約200名の血液データから統計を取り、年齢や性別、薬剤投与量等といった影響を及ぼす可能性のある因子を鑑み分析し、現在結果を検証している段階です。

もちろん統計のやり方も、論文の書き方も当初全く分からず、院生になるにあたり不安も大きかったのですが、幸いにしてここ獨協医科大学精神神経医学講座は丁寧に上の先生が指導して下さるので、負担を感じることなく研究に従事することが出来ています。

これらの研究の結果は、きっと今後の精神科治療に大いに役立つでしょう。それは本当に喜ばしいことですし、今からとても楽しみです。そして私にとってはそれ以上に、研究の過程で論理的な物の見方や考え方、様々な人達との交流といった、臨床に生かせる技術が身につくことにやりがいを感じています。また、研究にあたり精神科医療を過去・現在・そして未来という視点で見、実際に長年の研究者である上の先生方の仕事に間近で触れることで、先輩方の治療技術は魔法でもなんでもなく、日々の真摯な診療とたゆまぬ努力の結果であると気づくのです。

もし精神科医療や研究に少しでも興味を持つ方がいましたら、是非獨協医科大学精神神経医学講座にいらっしゃってください。一緒に診療・研究に携われることを心よりお待ちしております。

大学院2年
横山 沙安也

私は当講座の精神薬理学チームに所属しております。研究を始めたきっかけは下田教授に「同期は所属していますよ」というお話を聞いて「それなら自分も勉強してみるか」と興味を持ち、研究チームに入ることを決意しました。

薬理学の知識は大学時代に授業での遠い記憶しか残っておらず、ジェノタイピング、チトクロームP450、グルクロン酸抱合といった薬理に関する知識も大分うる覚えの状態からのスタートでしたが、ともかくも所属する、遺伝薬理学の研究テーマを進行させるべく、日々臨床の中で、サンプルを収集し、集まったサンプルを解析するといった行為を繰り返しております。

大学院と聞くと、尻込みされる医局員が一定数いらっしゃいますが、この場をお借りして、大学院入学への無用な恐怖心が取り除けることが出来れば幸いと思いつつ、PRさせていただきたく存じます。

研究をする上で大きなイベントと言えば、学会発表です。日本全国津々浦々で催されます。海外で催される学会もあります。そこで楽しみとなりますのが、ご当地のグルメ、地酒など、食にまつわる話題です。緊張一杯の発表が終わり、緊張が解けて心地よい達成感に浸りながら、医局の先生たちとの飲み会の楽しさと言ったら!博多のもつ鍋、焼酎、新潟の魚介、地酒etc. 挙げだしたらキリがないくらい、素晴らしい体験です。学会という知的な好奇心を充足させる一方で食事、飲酒という生理的欲求を充足させることも出来、学会発表というプロジェクトを終えた達成感を味わうことができる等々、様々な体験ができると思います。

研究と聞くと、敷居が高く、大変そうな印象をともすれば持ちますが、研究を通じて人間関係を豊かにするという、副次的な魅力もまた、大学院に入る大きな魅力の一つと考えます。

大学院の生活の話が過ぎて、医局の紹介が疎かになっていまいましたが、当講座では定例の治療方針決定会議や、週末の症例カンファレンス等、臨床においても活発な議論があり、レジデントの先生方に於かれましても有意義な研修を送ることが出来ると思います。

是非当講座にご入局いただき、学会などで楽しい精神科ライフをお供できれば幸いです。

大学院3年
佐々木 太郎