4.形成外科専門医までの盤石の道筋
形成外科専門医への道は、難関です。
具体的には、「2年間の初期臨床研修終了後、形成外科領域全てに関して、定められた研修カリキュラムにより、学会の認める認定施設において4年以上の専門医研修を修め、資格試験に合格すると専門医として認定されます(日本形成外科学会ホームページより抜粋)。」
ここでは、確実に形成外科専門医、およびその他の専門医を取得するための盤石のサポートをおこなっています。
形成外科専門医取得の際に、経験すべき疾患として定められている項目は、下記の通りです。
- 新鮮熱傷(全身管理を要する非手術例を含む)
- 顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷
- 唇裂・口蓋裂
- 手,足の先天異常,外傷
- その他の先天異常
- 母斑,血管腫,良性腫瘍
- 悪性腫瘍およびそれに関連する再建
- 瘢痕,瘢痕拘縮,ケロイド
- 褥瘡,難治性潰瘍
- 美容外科
- その他
専門医試験では、これらの疾患に対しての経験症例呈示(術前・術中・術後写真や手術記録などを含む)や、筆記試験、そして口頭試問が求められます。
獨協医科大学での研修で、これら全ての疾患をあますことなく経験することができます。施設ごとの特徴というものもあります。例えば、救急外傷の比率が多い施設もあれば、悪性腫瘍の治療が多い施設もあります。ひとつの医療施設では偏りがでることもありますが、関連病院も多数有しており、バランスのよい研修が可能です。
学外派遣勤務は、形成外科経験年数に応じて、安全に、そして勉強になる施設に派遣されるよう考慮されています。時間を無駄にしないように、勉強になる経験が得られるように工夫されているのです。
形成外科はかたちの異常を治療する診療科ですので、専門医試験でもかたちの証明、すなわち写真が重視されます。ここでは手術の前・中・後において必ず写真記録を取り、そしてそれは膨大なデータベースとして厳重に保管されます。あなたが専門医取得や学会発表、論文執筆などで使用したいデータは、効率よく検索して使用できるのです。
また、きちんと評価に値する写真として撮れているかも、カンファレンスの際に細かくアドバイスがあるので、自然とかたちを見る「目」が養われていきます。
手術の内容を理解するにも、筆記試験や口頭試問に答えるのにも、膨大な知識が必要です。これらの知識を効率よく理解するために、ここでは形成外科専門医によるレクチャーをおこなっています。各項目ごとに、基礎からレクチャーで勉強したあと、問題形式で復習することで、疾患の機序や手術の原理を、すんなり理解することができます。そして、このレクチャーで得た知識は、毎日の臨床にフィードバックされ、あなたの成長は加速度的に早くなるのです。
ここまで形成外科専門医についてのみお話しましたが、診療内容がより高度に専門化するに伴い、専門医制度もより細分化していく流れがあります。現在、sub-specialityの専門医として、
- 創傷外科専門医
- 頭蓋顎顔面外科専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- 熱傷専門医
- 手外科専門医
があります。今後は、唇顎口蓋裂、頭頸部再建、乳房再建、眼瞼下垂、美容外科などの疾患分野の専門医・指導専門医制度が制定されるかもしれません。
当科教授は、形成外科学会 理事を始め、多数の関連学会の理事、評議員などを兼任しており、医局員も複数の学会、研究会に所属しています。ここでは、時代の求める最新のニーズに対応し、専門医にふさわしい人材を養成しつづけます。
形成外科専門医は、単なる肩書きではありません。形成外科としてどんな状況にも対応できる十分なスキルを習得した証なのです。
私たちは、どこに行っても通用する一人前の医師の養成を、使命と考えています。