獨協医科大学 形成外科・美容外科

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確実に成長できる教育体制

2.確実に成長できる教育体制

あなたが一人前の形成外科医になるために、必要不可欠なのは、あなたの熱意です。しかし、整った教育環境があれば、効率よく学べ、医師としてのスキルが成長するスピードは、飛躍的に早くなります。

ここでは、形成外科の経験年数に応じて、段階的な研修カリキュラムが用意されています。手術の基礎技術や外傷初期治療、一般的な診察技術を身につけた後に、徐々に、より高度で応用的な技術を習得していきます。

医師の教育を論じる際に問題になるのは、医療の質(クオリティー)です。未熟な医師の教育のために、患者さんを練習台にするようなことは許されません。しかし、後進の医師の技術が向上せず、少数の医師だけが専門的な治療を担当していたらどうなるでしょうか?全体としての医療のクオリティーは下がり、さらに未来の患者さんが不利益をこうむることになってしまいます。医療のクオリティーをさげることなく、教育を両立しなければなりません。

ここでは、そのために、計画的な担当医や助手のシステムを重視しています。初めて経験する疾患も、まずは担当医として、手術前の検査・手術のセッティング・術後退院までの周術期管理などを、上級医の指導のもとに学びます。疾患に対する十分な知識なくしてメスを握ることはありえません。
手術の際には、助手として、術者の熟練した技術を学ぶことから開始します。徐々に、指導医の監督のもと、術者を経験していきます。形成外科の手術には、複数の行程を含む手術が多くあります。例えば、組織移植の手術は、「組織の採取」と、「移植」の二つの行程から成り立ちます。基本的な技術を習得した後に、それぞれのパートの術者を経験します。これを「部分的術者」と呼んでいます。部分的術者として熟練した後に、正式な術者を経験していきます。

実際の手術ばかりが、あなたの技術を成長させるとは限りません。医局には、皮膚縫合や、顕微鏡下血管吻合を練習するシミュレーターが備え付けてあります。また、実験室では実際の手術用顕微鏡が準備されており、あなたが好きな時に、いつでも練習が可能です。顕微鏡下血管吻合は、形成外科の必須習得技術として、ここでは全員が習得します。
キズ痕が目立たない様に、誰よりもキレイに縫合できる自信を持ちたくありませんか?
直径が1mmしかない血管を吻合して、組織を移植したり、切断された指がつなげる医師になってみたくありませんか?

専門医を取得するための、映像やスライドなどの各種教材もたくさんあります。古典的な教科書から、最新の論文までも、揃えています。
でも、もっと刺激的な教材は、先輩医師の治療理念やアイディアを聞く事かも知れません。形成外科の治療法は、一つではありません。例えば、乳癌で切除された乳房を再建する方法は、腹部の脂肪を移植する方法、広背筋を移植する方法、シリコンを挿入する方法、など様々です。形成外科はあまたの外科学の中でも、かたちを造りだし、何も無いところから「創造する」という特殊性を持っています。そのための方法が一つでないことが、「形成外科は医学と芸術の融合である」と言われる理由のひとつです。先輩医師の考え方に触れることは、あなたのアイディアをきっと活性化することでしょう。

余談ですが、私たちの規則をひとつお話しましょう。
毎週月曜日に、私たちは先週おこなった手術の内容と、これからおこなう予定の手術についてディスカッションするカンファランスを開いています。このカンファでは、飲み物を飲むのは自由ですが、食べ物は禁止です。何故か? それは、食べ物が口の中にあると、話せないし、聞きづらくなるからです。このカンファでは、学年に関係なく、思いついた疑問やアイディアを、皆が闊達に議論しあいます。アイディアに年功序列はないからです。ノドを飲み物で潤わせながら、あなたとアイディアを交換することを楽しみにしています。

もうひとつ大切なことがあります。それは、形成外科としての「目」を養うことです。手術の結果がどうなるのかを実際に見て、フィードバックすることで形成外科医の審美眼はトレーニングされます。そのために、レジデントであっても必ず外来業務も経験するようにしています。若手は雑用ばかりで何もさせてもらえない、などという話を聞くことがありますが、ここではそんなことは決してありません。あなたの成長が優先事項なのです。

早く成長してください。先達をつとめる私たちも、あなたが担当する患者さんも、そして未来の患者さんやまだ見ぬ後輩たちも、それを心待ちにしています。

私たちは、そのための協力を惜しみません。

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