冠動脈疾患

大動脈疾患

心臓弁膜症

末梢血管疾患

大動脈疾患

  大動脈疾患とは

大動脈の病気は一般的になじみのない病気かもしれません。
大動脈の病気は大きく分けて、大動脈瘤、大動脈解離があり、一端破裂に至ると極めて死亡率の高い病気です。
また大動脈瘤破裂、解離などの発症まで、自覚症状のないことが殆どです。本邦においても高齢化および画像診断の向上により年々その患者数は増大しており、重要な死因の一つとして考えられています。

動脈瘤の種類(壁の構造による)
真性瘤                 仮性瘤                 解離性瘤
  治療法は?

大動脈疾患に対しての治療は大きくわけて、開胸、開腹にて瘤を切除し人工血管に置き換える人工血管置換術と、
開胸、開腹を要しないカテーテルによる血管内治療があります。

人工血管置換術

大動脈の疾患に対する治療は、破裂に至る前に手術で人工血管に置き換えてしまう人工血管置換術が、良好な長期成績が実証され、標準的治療です。

血管内治療

人工血管置換術の成績は年々その治療成績の向上が図られてきましたが、手術には開胸・開腹を要し、かつ人工心肺と呼ばれる体外循環装置を使用するなど患者様の負担が大きいことが問題でした。
特に高齢者など予備力の低下した患者様には手術ができない(=手術非適応)こともしばしばありました。
90年代初頭、大動脈瘤を「切らずに治す」方法がカテーテル治療が開発されました。これは足の付け根にある動脈(大腿動脈)からシースと呼ばれる細い管を大動脈内に挿入し、 その中をステントグラフトと呼ばれる自己拡張能を持つ特殊な人工血管を小さく折りたたんだ状態で通して動脈瘤の部位で広げる治療です。
この治療の最大の特徴は、直接的に手術で動脈瘤に到達せず血管の内側から動脈瘤を治療するため、開胸・開腹・人工心肺の使用などを要せず、患者様の負担が大幅に減少することにあります。

急性大動脈解離に対するステントグラフト内挿術

2017年12月より、手術室内に固定式の高性能X線透視撮影装置が導入されました(ハイブリッド手術室)。
これにより従来の全身麻酔を用いた心臓血管手術を行いつつ、透視撮影装置を用いた精度の高い血管内治療が安全に施行可能となりました。
今回導入された最新の高性能X線透視撮影装置では、術前に撮影した3次元CTとの連携が可能となっただけでなく、さらに手術中に3次元透視撮影が可能となっており、一層精度の高い血管内治療が可能となりました。

  まとめ

以上のように大動脈疾患は、破裂、解離をきたすと非常に死亡率が高い疾患です。
当院では大動脈破裂、解離に対して365日24時間緊急対応しております。治療法に関しましては、患者様の大動脈瘤の位置や形態、また年齢や全身状態など十分考慮し、患者様と十分相談の上治療方針を決定させていただき、より良い医療を提供できるように尽力させていただきます。