診療内容
肺がんは、日本人の死因の第1位で、男女別では、男性の1位、女性の2位となっています。種類は、小細胞がんと非小細胞がんに大別され、非小細胞がんには腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどが含まれます。
非小細胞がんは、臨床病期ごとに治療方法が異なります。
肺がんの標準的な外科治療は、がんのある肺葉と周囲のリンパ節を摘出する手術です。当科では低侵襲手術として積極的に胸腔鏡手術を行っております。手術時間は3~4時間程度です。
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大腸がんなど他の臓器のがんが、血流に乗って肺に転移をしたものが転移性肺腫瘍です。肺から発生した原発性肺がんとは区別され、治療方針も異なります。
通常、転移性肺腫瘍の場合は、腫瘍部分の肺のみを切除します(肺部分切除)。手術適応などについては、外来で説明いたします。また、新棟建設後、ハイブリット手術室も新設され、今まででは摘出が難しかった小さな病変に対しても、CTガイド下に摘出を行っております。
縦隔とは、左右の肺に囲まれた胸の中央部分です。この部位には様々な組織が含まれ、多種多様な腫瘍・嚢胞が出現します。発生頻度が高い代表的なものには胸腺腫があります。腫瘍の種類と進行度に応じて手術・放射線・化学療法を組み合わせ治療します。胸腺腫瘍に対しては胸骨正中切開が標準的とされていますが、胸腔鏡下に切除可能と判断される場合は、低侵襲手術として積極的に胸腔鏡手術を行っております。
重症筋無力症及びそれに伴う胸腺腫に対しても、神経内科と連携して内科的治療と組み合わせて手術を行っております。
肺の上部にブラというお餅がふくれたような空洞部分ができ、そこに穴が開き肺がしぼむ病気です。胸腔ドレナージを行い保存的に治療するのが基本的な治療法ですが、下記の様な場合は、ブラ部分を切除する手術が必要です。
手術は胸腔鏡下手術によるブラを含めた病巣部の切除を行います。単純な切除のみでは再発する場合があるため、原則として再発防止のために切除断端周囲の肺を吸収性メッシュと自己血による被覆を追加しています。
タバコなどに伴う肺気腫(COPD)や間質性肺炎などのために、肺が破壊され、穴が開き肺がしぼむ病気です。もともと非常に肺が脆弱になっているため、治療に難渋し再発することも少なくありません。病態に応じて、原発性気胸と同様に手術、責任気管支の閉鎖(EWS塞栓療法)、胸膜癒着療法などを行います。
以前は肺結核治療後の慢性膿胸が多く見られましたが、近年は肺炎、外傷に伴う急性膿胸が多くなっています。胸腔ドレナージと薬による膿苔の溶解を図り、効果の乏しい場合は胸腔鏡手術による膿苔除去を行います。
外傷性肺損傷、気管支断裂、血胸等、手術が必要な場合は、日時を問わず、緊急手術を行っております。
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | ||
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肺癌 | 74 | 102 | 113 | 122 | 128 | |
肺葉切除 | 69 | 94 | 103 | 98 | 102 | |
区域切除 | 3 | 2 | 4 | 9 | 10 | |
全摘 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | |
その他 | 2 | 6 | 6 | 13 | 18 | |
肺良性腫瘍 | 3 | 5 | ||||
転移性肺腫瘍 | 15 | 21 | 15 | 19 | 36 | |
悪性胸膜中皮腫 | 3 | 1 | ||||
胸膜肺全摘 | 0 | 1 | ||||
胸膜切除肺剝皮術 | 1 | 0 | ||||
その他 | 2 | 0 | ||||
気胸 | 27 | 37 | 57 | 40 | 48 | |
膿胸 | 3 | 9 | 3 | 4 | 4 | |
縦隔腫瘍 | 25 | 25 | 21 | 29 | 29 | |
その他 | 19 | 25 | 28 | 36 | 45 | |
計 | 163 | 219 | 237 | 256 | 296 | |
導入療法後手術(重複あり) | 6 | 2 | 0 | 0 | 2 | |
気管支形成、肺動脈形成など | 6 | 0 | 4 | 1 | 1 | |
ロボット支援下(2021年からは肺癌のみ) | 0 | 0 | 12 | 22 | 23 | |
単孔式手術(2021年からは肺癌のみ) | 46 | 24 |