knee osteoarthritis変形性膝関節症に対する最新治療のご案内

1. PRP /APS療法

PRPとは Platelet-rich plasmaの略で、多血小板血漿のことを指します。私たちの体内を流れる血液には、赤血球、白血球、血小板など様々な成分が含まれています。血小板は体のどこかで出血が起こると、その部位に集まり止血を行う成分ですが、その過程で周囲の組織に修復を促す成長因子と呼ばれる成分を放出することが分かっています。
PRP療法は、特殊な機材と遠心分離機を用いて血液から血小板成分を分離し、濃縮したものを膝関節内に注射する治療です。濃縮された血小板が人間の本来持つ治癒、組織修復能力を高め、関節の痛みを抑制し、成長因子による軟骨保護効果も期待できる治療です。本治療は患者さん本人の血液を使うため、拒絶反応やアレルギー反応が少ないというメリットがあります。
APSとはAutologous Protein Solution の略で、PRPをさらに濃縮した自己たんぱく質の溶液のことを指します。APR療法はPRP療法の強化版と考えることができます。

PRP/APS療法の流れ

01

診察

問診、触診、MRI画像診断で医師が患部の状態を確認し、治療についてご説明します。

02

血液の採取

採血室で行います。

03

抽出処置

採血後20~30分お待ちいただきます。

04

関節内注射

抽出した成分を関節内に注射します。同日中に治療は完了します。

2. 自家滑膜幹細胞治療

痛みがなかなか改善しない変形性膝関節症の痛みに対し、自己滑膜由来幹細胞を用いた関節内注射を行う治療です。
私たちの体は、骨、皮膚、軟骨、腱、神経など多種様々な種類の細胞で構成されています。「幹細胞」とは、それらの細胞に変化してく前段階の大元となる細胞です。幹細胞が様々な種類の細胞に変貌していくことを分化といい、幹細胞は多様な細胞に変化する多分化能を持ちます。この幹細胞は体の様々な組織内に存在し、体内に損傷があるとその部位に移動して炎症を抑制したり、分化能を生かして傷を修復する働きがあることが分かっています。
私たちは様々な組織由来の幹細胞を研究し、関節内を裏打ちする組織、滑膜から採取された滑膜由来幹細胞が、優れた軟骨への分化を示すという結果を得ました。滑膜由来幹細胞の軟骨への分化能は、脂肪細胞の分化能をはるかに凌ぐことが明らかになっています。
この結果を踏まえ、本治治療では滑膜由来幹細胞を膝関節内から採取し、培養増殖させたものを関節内に注射します。優れた軟骨再生能力で膝関節内の痛んだ軟骨を修復し、痛みを抑制することが期待されます。

Sakaguchi Y, Arthritis Rheum. 2005;52:

幹細胞治療の流れ

セルソース社・関矢一郎先生御提供

01

診察

問診、触診、MRI画像診断で医師が患部の状態を確認し、治療についてご説明します。また感染症などの血液検査を行います。
この段階で、本治療が最適かどうか、ほかに優先される治療がないかなどが検討されます。

02

滑膜組織の採取

局所麻酔下に膝関節からの滑膜組織の採取を行います。お皿の外側を5㎜程度切開し、ボールペンほどの太さの道具を関節内に挿入して、超音波画像を確認しながら慎重に採取します。また同日に細胞の培養に必要な採血も行います。滑膜採取の所要時間は30分程度です。

03

細胞培養

専門の技術を持つ業者に委託し、滑膜組織から幹細胞を分離し培養を行います。2週間かけて治療に必要な数まで幹細胞を増やします。

04

関節へ注入

増殖させた幹細胞を注射器を用いて膝関節内に注射します。

再生医療等の価格

PRP(多血小板血漿) 99,660円(税込み)
APS(自己タンパク溶液) 349,580円(税込み)
自家滑膜幹細胞治療 2,488,000円(税込み)

※再生医療等は『再生医療等の安全性確保等に関する法律に基づく届出』を済ませている医療施設で、再生医療計画を提出し、受理されている医療施設でのみ実施できます。

※これらの治療は保険適応外で自費診療となります。治療の詳細は当院膝専門外来をご予約の上、担当医より説明をお受けください。

  • 既存の保存的治療で十分な結果が得られない
  • 手術以外の治療法を検討してみたい
  • 様々な事情で最適な手術の選択肢がないと言われた

など、治療の方針で悩んでいらっしゃる方はぜひご相談ください。