人工股関節全置換術(THA:Total Hip Arthroplasty)
変形性股関節症や大腿骨頭壊死症では、強い股関節痛を生じるため長く歩行ができなかったり、歩行時に体が揺れたり(跛行といいます)します。この手術は、傷んだ関節を切除して人工関節により新しい関節を作る手術です。
当院では筋肉を温存し最小侵襲で手術を行うことで、入院期間を短縮し、術後脱臼リスクを減少させる工夫をしています(Tachiana T. JJSR, 2023)。両側同時の手術でも入院期間はあまり変わりません。原則として翌日から歩行練習を開始できます。人工関節の耐用年数も非常に長くなっています。
- 患者さん
- 70代女性
- 左写真(術前)
- 術前の股関節X線写真。両側で軟骨が完全に消失し、関節が変形しています。
- 右写真(術後)
- 全身麻酔による前側方進入(筋温存)の両側同時人工股関節全置換術を行った後のX線写真です。人工関節を正確に設置するために、コンピューターナビゲーションシステムを用いました。
- 治療期間
- 通常2週間前後で杖歩行、階段昇降が可能となり自宅退院となります。
- 費用
- 全て保険診療で行われます。
- リスク
- 出血、骨折、脱臼、細菌感染などが起こり再手術となる可能性があります。希望者には自己血(ご自分の血液)を貯めておき、手術時に使用することも行います。