股関節周囲骨切り術 (PAO:Periacetabular Osteotomy)
本手術は関節温存術といい、患者さん自身の関節を残す治療です。変形性股関節症や大腿骨頭壊死症の患者さんのうち、軟骨の損傷が少なく年齢が比較的お若い場合に、患者さんの股関節を骨切りし形を矯正することで、痛みを取り、患者さん自身の股関節を長持ちさせる手術です。
一般的に、骨切り後に骨が治癒(骨癒合)するまでの期間は、松葉杖などで荷重制限をする必要があります。人工股関節全置換術は非常に良い手術で回復も早いですが、最後の切り札といえる治療です。ですから関節温存術のメリットが大きい場合に行っています。
患者さん①:20代女性
- 左写真(術前)
- 術前の股関節X線写真。軟骨は十分に残っていますが骨盤のくぼみ(寛骨臼)が浅いため、軟骨が傷つき始めています。
- 右写真(術後)
- 全身麻酔による寛骨臼回転骨切り術を行った後のX線写真です。
患者さん②:30代女性
- 左写真(術前)
- 術前の股関節X線写真。大腿骨頭壊死症により、大腿骨の骨頭が微小な骨折を起こし、強い痛みを起こしています。
- 右写真(術後)
- 全身麻酔による大腿骨内反骨切り術を行った後のX線写真です。
骨切り術について
- 治療期間
- 通常3~4週間前後で荷重制限下での両手松葉杖歩行が可能となり自宅退院となります。
- 費用
- 全て保険診療で行われます。
- リスク
- 出血、骨折、骨切り部が治癒しない偽関節、細菌感染などが起こり再手術となる可能性があります。必要に応じて自己血輸血の準備をします(ご自身の血液を術前に貯める、術中に回収するなど)。