患者様へ

麻酔について

これから手術を受けられる患者様に、麻酔のことを知って頂くことで少しでも病気・手術に立 ち向かって行くうえでの不安を減らし、安心・安全に手術を終えて良好な経過をたどって頂け るよう、ここでは麻酔に関して説明させていただきます。

麻酔とは、手術の際に生じる「痛み」や「不安」といったストレスから患者様を守り、呼吸・ 循環を含めた全身管理を行うことで、より安全に手術を行って頂くための医療のことを言います。
 その方法には数種類あり、局部麻酔・浸潤麻酔・脊椎麻酔・硬膜外麻酔・全身麻酔など様々 な方法があります。
 これらの中から我々麻酔科医が、患者様の全身状態、現在・過去に治療された病気、採血・ 心電図・レントゲンなどの術前検査を詳しく調べ、今回手術される部位・手術時間など様々な 情報を総合的に判断したうえで最良の方法を選択します。

それでは、何故手術に麻酔が必要なのか?

 それは人間の体は痛みなどの刺激が加わると、「血圧が上がり、脈が速くなり、不整脈が出現し、 場合によっては気絶してしまう…」など、その他様々で有害なストレス反応が生じます。
 そのため、手術による極めて侵襲の強い痛みやストレスにはとても耐えられず、状況によっ ては生命にかかわる反応を引き起こす可能性もあるのです。そこで必要なのが「麻酔」なのです。
 通常、痛み刺激は、末梢神経(皮膚などの体表近くにある神経)から脊髄神経(背骨に沿っ てある神経)を通じて中枢神経(脳)へ伝わり、様々な有害な反応を引き起こします。
 そこで、痛み刺激をこれら末梢神経、脊髄神経、中枢神経のどこかで抑えてあげることで、 痛みを抑制・緩和し、人体への有害なストレス反応を抑えるのが麻酔なのです。
 先程挙げた各種麻酔方法は「末梢神経であれば局部麻酔や伝達麻酔」、「脊髄神経であれば 脊椎麻酔や硬膜外麻酔」、「中枢神経であれば全身麻酔」といった具合に、上記のどの部分に 麻酔をかけるかによって名称が異なってきます。

獨協医科大学 麻酔科
ペインクリニックについて

「痛み」は人間が生活していく上でなくてはならない非常に重要な危険信号です。もし痛みを 感じることができなかったら体が傷ついても分からなかったり、お腹の調子が悪くなっても気 付かなかったりして決して長生きすることはできないでしょう。しかしこの「痛み」は警告と しての役割を終えて原因を究明した後では非常に有害なストレスとなります
 人はこの痛みのストレスが長く続くと、自律神経のバランスが崩れ交感神経の緊張が強くな り各所で血液の循環障害が起こります。その結果新たな発痛物質が表れ、元々あった痛みが強 くなったり、他の場所に新しい痛みが出現したりとさらなるストレスが加わります。このよう にして「痛み」のストレスをためていくことで痛みの悪循環が起こりなかなか治らない、時に は生活に支障をきたすような長くつらい痛みとなっていきます。
 ペインクリニックでは交感神経ブロックという注射療法を中心に薬物療法や温熱療法などを 併用しながらこの痛みの悪循環をなくし、平穏な日常を送ることを目標とした治療をおこなっ ています。

どんな疾患が対象なの?

痛みを伴うすべての疾患、本来の痛みの機能に由来する痛み(侵害受容性疼痛)、病的な痛み (神経障害性疼痛)、心情と密接に関係する痛み(心因性疼痛)などがペインクリニックの対 象となります。具体的には腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの腰痛や下肢痛、頸椎 症や頸椎椎間板ヘルニアなどの頚部上肢の痛み、肩こりが原因の緊張型頭痛、帯状疱疹や帯状 疱疹後神経痛による痛み、三叉神経痛、手術後や外傷後の長引く痛み、幻肢痛などと幅広く、 部位別にみても、頭部・顔面痛・頚肩腕痛・胸背部痛・腹痛・腰下肢痛・骨盤内・陰部痛など 身体のあらゆる箇所の痛みが対象となります。
 その他にもバージャー病や膠原病または閉塞性動脈硬化症などによる末梢血流障害、多汗症、 顔面神経麻痺、突発性難聴、網膜中心動脈閉塞、顔面痙攣、痙性斜頸なども治療の対象に なります。

獨協医科大学 麻酔科
緩和ケア

緩和ケア外来について

日本では生涯に2人に1人ががんになる時代と言われています。
がんは意外と身近な病気なのです。
世界、そして日本では「がんと診断された時から緩和ケアを受けること」を推奨しています。
当外来では、原疾患の主治医や担当医療スタッフとともに私たち緩和ケア外来のスタッフがより専門的な治療、ケアを提供しています。
 緩和ケアの対象となるのは「がん患者さん」と、その「ご家族」です。
がんを発症したことで、お互いに気を使ってしまいうまくコミュニケーションが取れないことはありませんか?
また、ご家族が「どういう風に寄り添っていけばいいのか」など悩まれていませんか?
「これからどうしていったらいいんだろう」など、今後の不安など抱えられていませんか?
そういった医療者になら相談しやすいことなど是非お聞かせください。経験豊富なスタッフが対応しており、臨床心理士の面談なども行っております。
 複雑な心の悩みについてお話しましたが、もちろん身体の苦痛も治療の対象です。例えばがんによる堪え難い痛みがあり、なかなか改善しない場合や、息苦しさで夜間も休めない場合などです。各種身体症状を緩和するためのスタッフ、特に痛みの専門医が対応しています。
 最初は多くの患者さんは不安な気持ちで当外来を訪れます。
我々スタッフは患者さん、ご家族が診察を終え帰る頃には自然と笑顔になれるようにといつも考えております。
患者さん、ご家族の様々な苦痛を緩和しながら「その人らしく生きていくこと」をサポートします。お気軽にご相談ください。

大学病院ホームページ:外来担当医