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教授 小橋 元からのご挨拶
「人間が好き!」を合言葉に、みんなの人生、生活、生命をまもる教室です。公衆衛生学の温かな視点と熱い心意気を持った「人」を育てます。
獨協医科大学医学部公衆衛生学講座のホームページへお越しいただきありがとうございます。
衛生学・公衆衛生学は、「みんなの人生、生活生命をまもる、みんなの取り組み」です。少し難しい言葉で言い換えれば、「人々の健康や疾病予防の鍵を、人間集団、生活、社会から見つけて、社会の取り組み、実践活動につなげる学問」です。この考え方や方法は、臨床医、医療関係者のみならず、人の健康や生活を守りたいと願うすべての方々にとって基本となるものです。
現在は地域医療の重要性が言われますが、地域で多くの人々へ等しく医療を提供しようとすれば、それを主導する医師には当然のことながら、地域の様々な人々の顔を見て、その生活や事情を知った上で、良い連携を取りながら医療活動を進める姿勢と能力が求められるのではないかと思います。そういう意味では、
みんなの人生、生活、生命をまもる取り組みである公衆衛生は、地域医療の基盤でもあると言えます。また、社会医学としての衛生学・公衆衛生学の役割には、社会の在り方が生み出す健康障害の予防、社会における人間の権利をまもる取り組みもあります。私たちの知っている世の中ではみんなが「人が人として人間らしく生きる」ことができているでしょうか。
「人々の生(人生、生活、生命)への熱い思いと優しい眼差し」、「声を出せない弱い立場の者を代弁し、その声を届けて社会を動かすこと(アドボカシーと言います)」等々、病院の中で患者さんを診ているとふと忘れてしまいがちな心意気を再確認することも、私は大切だと思っています。
また私は、人生、社会のすべての基本は「(広義の)教育」であると考えています。「心震えること」「目から鱗が落ちる気づき」が、人々の健康や幸せな人生、そして素敵な社会を作るのです。ですから、
人々の生をまもりたいと願う者は、人々のこころを照らす教育者を目指すべきだとも思っています。
私たち獨協医科大学医学部公衆衛生学講座は、人々の健康を守り社会に役立つ研究と、このような衛生学・公衆衛生学・社会医学の視点と心意気を持った「人」を育てます。
衛生学・公衆衛生学・社会医学を簡単に言えば、「人が好きで、人が苦しむのを見たくない」「だからそのためにみんなで何かできることをしよう!」ということです。
当たり前のことですが、「死なせないこと」と「良く生きること」はイコールではないし、「病気でない(健康であること」と「良く生きること」もイコールではありません。
一般に医療系学部では「死なせないこと」や「病気を防いで健康でいること」は学習したり、研究したりしますが、「良く生きること」については勉強も研究もあまりしていません。
だから私は、「良く生きること」を研究し教える専門家たちにたくさんのことを謙虚に学びながら、本来なされるはずだった「より良い衛生学・公衆衛生学」を追求していきたいと思っています。
そして、この学問・現場実践を通じて、人々が少しでも「より良く生きる」ことに貢献したいと思っています。
私はもともと産婦人科の臨床医でしたので、その特徴を生かして、以下のような成育予防社会医学研究を、栃木県・壬生町などを中心に新しく立ち上げ、以下のような様々な研究を精力的に行っています。
- 周産期健康観察研究(妊婦健診コホート)(OSAN)
- 自治体イノベーションコホート研究(壬生町等の自治体との共同研究事業:MICS)
- 鶯谷大規模健診コホート研究(UPHLS)
- 中枢性感作の疫学研究(ESCSS)
- 小児炎症性腸疾患の遺伝・環境交互作用解明のための症例対照研究(P-GENIC)
- 頸髄症・後縦靭帯骨化症の遺伝・環境交互作用解明のための症例対照研究(O-GENIC)
- 妊娠高血圧症候群,分娩時出血の遺伝・環境交互作用解明のための症例対照研究(A-GENIC)
- 女性の本態性高血圧における遺伝・環境交互作用解明のための症例対照研究(H-GENIC)
- 周産期ビッグデータ解析(JODAN)
- 思春期、妊婦・育児期に必須な健康教育の疫学研究(CHEER)
- 周産期合併症等に関わるネオセルフ抗体に関する研究(NESANS)
- Muse細胞の分子細胞組織疫学研究(PPMP研究)
- 栃木県がん登録データ解析
- 職場検診における感覚器障害と循環器疾患に関する研究
- 疾病就労両立支援研究
- 性差疫学研究
- 子どもの健康関連要因の研究(TOCHIGI研究)
- 栃木県県民健康・栄養調査の解析協力
- 上記以外の様々な臨床疫学、放射線疫学に関する各種共同研
獨協医科大学医学部公衆衛生学講座が進める成育予防社会医学研究
(「研究について」のページをご覧ください)
当講座には、人を対象とした疫学・臨床疫学研究と、分子疫学を含む実験的研究に精通したスタッフが揃い、指導体制が整っています。
また、上記の研究には、疫学・衛生学・公衆衛生学の専門家はもちろん、乳幼児教師、学校教師などの教育職、法律、社会、倫理、工学などの
「実践・技術分野に精通し、社会を良く知る方々」と、
臨床医、保健師、助産師、看護師、臨床心理士、栄養士などの
「医療現場を良く知る方々」との連携・協同
が欠かせません。様々な背景を持ったたくさんの方々の参加を期待しています。
上記研究に興味のある方、あるいはすでに自分の興味や目標をお持ちの方を大いに歓迎いたします。どうぞ気軽にご相談ください。
私たちと一緒に大きな夢を追いかけましょう!
熱い志を持った方々との出会いを楽しみにしています。
獨協医科大学医学部公衆衛生学講座 | 主任教授 小橋 元 |
略歴
1989年3月 | 北海道大学医学部卒業 |
1989年6月 | 国立札幌病院臨床研修医(産婦人科) |
1989年12月 | 北海道大学医学部附属病院研修医(産婦人科) |
1990年4月 | 市立札幌病院臨床研修医(麻酔科、未熟児科、産婦人科) |
1990年4月 | 北海道大学大学院医学研究科入学 |
1991年4月 | 国家公務員等共済組合連合会幌南病院医員(産婦人科) |
1992年4月 | 厚生連札幌厚生病院臨床研修医(産婦人科) |
1994年9月 | 北海道大学助手(医学部公衆衛生学講座) |
2000年4月 | 北海道大学大学院助手(医学研究科予防医学講座) |
2001年10月 | 北海道大学大学院講師(医学研究科予防医学講座) |
2002年1月 | 米国テキサス大学公衆衛生学部留学(2002年3月帰国) |
2006年5月 | 放射線医学総合研究所チームリーダー(遺伝統計研究チーム) |
2008年4月 | 放射線医学総合研究所主任研究員(医療情報課) |
2011年4月 | 放射線医学総合研究所室長(研究倫理企画支援室) |
2015年4月 | 獨協医科大学医学部教授(公衆衛生学講座) |
2018年10月 | 獨協医科大学学長補佐(産学官連携・研究支援担当) |
2020年4月 | 獨協医科大学副学長 獨協医科大学先端医科学統合研究施設 施設長 |
専門医・資格・学会関係
- 社会医学系専門医協会 理事(専門医・指導医)
- 日本公衆衛生学会 理事(公衆衛生専門家)
- 日本疫学会 理事(上級疫学専門家)
- 日本衛生学会 理事
- 日本健康教育学会 理事
- 日本社会医学会 理事
- 日本循環器病予防学会 理事
- 日本産業衛生学会 代議員/関東地方会幹事(指導医)
- 日本妊娠高血圧学会 代議員
- 日本産科婦人科学会 専門医
- 日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医
- 労働衛生コンサルタント
- 第2種放射線取扱主任者
- 日本医師会 認定産業医
今までに行ってきた主な研究・実践
- 周産期の健康支援(特に妊娠高血圧症候群の予防)
- 分子疫学(疾病に関連する遺伝要因と環境要因の交互作用)
- 社会医学(ホームレスなど社会的弱者への支援と調査)
- 産業衛生(過重労働の健康影響)
- 難病の疫学研究(OPLL、IBD、SLE、難聴など)
- 臨床疫学研究(悪性腫瘍、婦人科疾患、難聴など様々な臨床科との共同研究)
- 人獣共通感染症の疫学(E型肝炎の抗体調査)
- 放射線疫学研究(放射線医学総合研究所、福島県立医大との共同研究)
- 放射線のリスクコミュニケーション
出典:血圧 vol.24 no.11 2017
出典:公衆衛生情報(2016.5)
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