検査・治療の紹介

睡眠時無呼吸症候群とその治療について

睡眠時無呼吸症とは

これは夜間睡眠中に無呼吸を繰り返すために睡眠が妨げられる病気です。無呼吸のタイプは大きく分けて閉塞型と中枢型があり、多くは睡眠中に気道が塞がる閉塞型無呼吸です。これは、肥満の方、首が短く太い方、顎が小さい方などにみられ、狭い気道を空気が通る時に出るイビキは睡眠時無呼吸の重大なサインとなります。他に昼間の強い眠気、起床時の頭痛や倦怠感、熟眠感の欠如、夜間中途覚醒、夜間頻尿などがみられます。

重症の睡眠時無呼吸症では、繰り返し何度も無呼吸がおきて、それに伴う酸素不足のため血圧が高くなり、心臓や脳など、からだの各臓器に負担がかかることがわかっています。糖尿病、肥満に伴うメタボリックシンドローム、認知障害などとも関連するといわれていていますが、高血圧症、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こすことが多いため特に注目されています。 日本の高血圧患者は約4300万人いると言われています。ある報告によれば、高血圧の方の約3割に睡眠時無呼吸があり、特に薬をのまれていてもなかなか血圧が下がってこない高血圧患者の約8割に睡眠時無呼吸があるとも言われています。昼間の血圧が高いことに加え夜間から早朝に血圧が高くなりやすい方、何種類もの血圧を下げるお薬を飲んでいても血圧が下がらない方で、夜間いびきがひどく十分な睡眠時間にも関わらず日中に眠気がある方は睡眠時無呼吸症の可能性があります。

睡眠時無呼吸症が強く疑われた場合は、終夜睡眠ポリグラフ検査という精密検査を行います。検査にて一晩に数十回以上、1時間あたり5回以上の無呼吸があれば睡眠時無呼吸症と診断されます。

治療について

肥満の方には体重の減量を、煙草の習慣がある方には禁煙を、たくさんお酒を飲まれる方には節制をお勧めするといった生活習慣の改善がとても大切です。中等症~重症以上の方は(具体的には終夜睡眠ポリグラフ検査にて夜間の無呼吸と低呼吸を合わせた1時間あたりの数が20回以上の患者さんに対しては)、健康保険の適応により経鼻的持続陽圧呼吸療法装置による治療を検討します。通称シーパップ(CPAP)と言われるこの方法は、上気道に常に陽圧をかけつづけることにより咽喉(のど)や舌を押し上げて気道を広げて無呼吸を防ぎ、多くの睡眠時無呼吸症候群の患者さんに有効とされています。

その他、イビキのみの方や痩せていて軽症~中等症の患者さんではマウスピースによる治療が勧められています。これは睡眠中に上下の歯の間に装着し舌や下あごを前方に引き出す装置で、後方の気道空間を広げて気道の閉塞を防ぎます。装置は、睡眠時無呼吸症候群の診療に経験のある歯科医師の先生により作製してもらう必要がありますが、入れ歯や歯の状態が悪い方では対応できない方法です。

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