研究紹介

血管再生治療の臨床応用

虚血性心疾患グループ 責任者 佐久間 理吏

再生医療について

再生医療とは、人工的に培養した細胞や組織を用いて、病気やけがなどによって失われた臓器や組織を修復・再生する医療です。

再生医療の対象となる臓器は全身に及びますが、心臓・血管疾患領域で再生医療が行われているは「閉塞性動脈硬化症」です。この病気は足に流れる動脈が動脈硬化によって狭くなったり、詰まったりすると、血流が悪くなり痛みを生じたり、最悪の場合は壊死を起こして切断が必要になる場合さえあります。我々の診療科では血管の狭い部分をステントという金属の筒で拡げる治療を積極的に行っています。また心臓・血管外科にお願いしてバイパス手術をすることでも病態改善を図ることができます。しかし、血管が足の先まで糸のように細くなっていると、これらの治療は不可能となります。そこで、再生医療の登場です。この再生医療で重要な役割を果たすのは、さまざまな細胞になる能力をもった「幹細胞」です。病変部に「幹細胞」を投与し、新しい血管にまで成長させて血流の悪かった部分に新たな血流をもたらすのです。それにより、壊死を起こして切断が必要であった足が生き返る可能性もあります。

今後、「幹細胞」やその投与法の技術革新により、さらに多くの病気に対して再生医療が行われることと思われます。当科では最新の技術を駆使した再生医療の研究に取り組んでいますが、最も大切なことは患者さまの安全と利益であることは言うまでもありません。現在、当科では、なるべく早く、医学的、倫理的、法的な機関に承認された治療法として再生医療を臨床の場に提供できるよう奮闘中であります。

一覧へ戻る