音楽療法とは
- 当センターでは、小学生~中学生の発達障害のお子さんに月1回の音楽療法のセッションと、年1回の発表会、交流を深めるBBQ大会などを行っています。
- それでは当センターで行っている発達障害のお子さんに対する音楽療法とはどのようなものなのでしょうか。
1. 音楽を学ぶのではありません!
音楽療法というと、ピアノなどの楽器を習ったり、歌の練習をして音楽技術の向上を目指すと勘違いされがちですが、まったく違います。もちろんセッションの中で音楽は沢山使いますが、音楽教育ではないので、音楽技術の向上を目的にはしていません。
2. 音楽によって癒されるわけでもありません!
音楽療法というと、心穏やかになる演奏やCDを聴いて心を落ち着かせる、と勘違いされがちですが、正しくありません。広い意味で音楽療法の一部であり、発達障害のお子さんに対してたまにこのような手法がとられることもありますが(リラックスの仕方を学ぶ場合など)、当センターで行っている音楽療法の目的は癒されることではありません!
3. では何のために行うの?
お子さんによって目的は違いますが、多いのは
「やっていることに注目する」
「集中する」
「要求を相手に伝える」
「着席する」
「順番を待つ」
「自発性をもつ」
「お友達を誘う」
「お友達と協力する」
などです。つまり・・・コミュニケーションや社会性の促進!です。
4. 具体的に誰がどんな感じでどんな風にやってるの?
①形態・雰囲気は?
現在、主に小学生から中学生の発達障害のお子さん約30名がセッションに参加しています。セッションへの参加は一年ごとに契約をします。5~10名のグループに分かれ、月1回60分セッションを行います。スタッフは音楽療法士4名、臨床心理士1名、小児神経科医1名です。保護者は後ろで見学をしています。お子さんは半円形に座ります。全体を通して、和やかな中で適度な緊張感が持てるような雰囲気作りを心がけています。
②使うものは?
ハンドドラム | ベルハーモニー | ビブラスラップ |
オートハープ | フルーツシェーカー | ウッドブロック |
ラッパ | レインスティック | カバサ |
③どんな風にやるの?
「つまらないことを無理やりやらせるのはイヤ!」というのが基本的な音楽療法士の考えかたです。お子さんが思わずやりたくなっちゃうような楽器や音楽などを使って、活動の中にいかにそのお子さんの課題を組み込んでいくか毎回スタッフで話し合ってプログラムを考えます。対象のお子さんが決まると、スタッフは実際のセッションでお子さんの様子を細かく見たり、ご両親や主治医などからの情報や医学的・心理的検査などを総合して、一人一人の状態を把握し、保護者とも相談の上、目標を設定します。目標達成にはどのような手段、手順をとるのが適切か、スタッフで相談します。セッションは後で振り返ることができるようにビデオで撮影し、筆記でも記録をとります。セッション後は毎回スタッフ皆で、お子さん一人一人の目標設定や課題の手続きが正しかったか、今後どのように取り組むか、などを相談し、次回の準備を行います。
5.効果はあるの?
お子さんや目指す目的によって、変化が出るまでの期間は様々です。学校では引っ込み思案だけど、初回のセッションから手を上げたり意見を述べたりして積極的に参加するお子さん、集団が苦手でこだわりが強く、セッションの輪に入れるまでに半年かかるお子さん、いずれにしても、月1回のセッションに継続してお越しいただくことが変化をもたらし維持をさせる大きな要因です。ただ、すべてのお子さんにとって音楽療法が一番の療育方法という訳でもないと思います。お子さんの性格や得意分野によって、ダンスや絵画などの他の方法が最適ということもあると思います。
6.どうやったら参加できるの?
獨協医科大学子どものこころの診療センター・小児科の医師を受診し、音楽療法希望の旨をお伝えください。医師とご相談いただき、音楽療法が適当でありそうな場合、見学をしていただきます。ご見学終了後、ご参加の有無を音楽療法スタッフにご連絡ください。