「下部消化管治療センター」
「大腸・肛門グループについて」
大腸グループは、大腸癌をはじめ、小腸・大腸・肛門の幅広い疾患を診療し、年間200例以上の手術を行っています。
大腸癌は年間100例ほど手術を行っています。近年、腹腔鏡手術が普及し、当科では80%以上を腹腔鏡で行っています。直腸癌に関してはロボット手術を導入し、より質の高い医療を提供しています。また、大腸癌でしばしば問題となる肝臓の転移に関して、肝臓グループとカンファレンスを行い、積極的に手術をすることで根治を目指しています。
痔疾患、特に内痔核に対しては、切らずにすむALTA療法(四段階硬化療法:ジオン注射)を1泊2日で行っています。痛みが比較的少なく、患者様の満足度も高いです。
腹腔鏡手術の様子
ロボット支援下手術について
大腸の中で肛門に近い直腸は、骨盤の奥深くに存在します。腹腔鏡下手術は従来の開腹手術では見えにくかった骨盤の奥を腹腔鏡で観察しながら手術を行うことができます。
しかし、男性や肥満の患者さんは骨盤が特に狭く深いため、腹腔鏡下手術でも操作に難渋する場合があり、途中でお腹を大きく開ける開腹手術に移行する場合もあります。また、排尿や性機能をつかさどる神経が直腸の周囲を走行しているため、手術後に排尿機能障害、性機能障害が起こりやすいことが知られています。さらに直腸癌では、癌細胞を取り残してしまい切除した場所に再発を起こしてしまうこともしばしば問題となります。
ロボット支援下手術は、腹腔鏡下手術と同様に小さな傷から腹腔鏡と器具を使って手術をするので、体への負担や痛みも少なく、早期社会復帰も可能です。さらに3次元画面を通して術者は臓器を立体的に認識でき、ロボットアームの先端についている器具が自由自在に曲がるため、腹腔鏡下手術では難しい狭い骨盤内でも、術者の思い通りに手術が進められます。また、ロボットは手ぶれがなく、より繊細に組織を切離することができます。
こういったロボットの特性により、ロボット支援下手術は腹腔鏡下手術より排尿機能障害、性機能障害、局所再発の低減が期待できます。また、従来の腹腔鏡下手術では困難とされていた男性患者、肥満患者さんでも円滑な手術が可能となります。
ロボット手術中の様子
術者は別の場所でロボットを操作します。