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獨協医科大学病院外科について(各科教授ご挨拶)

獨協医科大学第二外科を主催しております窪田敬一です。宜しくお願いします。

さて平成30年度より外科専門医取得のためのカリキュラムが新たに発足します。
そこで外科専門医取得のため獨協医科大学外科学分野(第一外科、第二外科、心臓血管外科、呼吸器外科)で協力して外科専門医取得専攻コースを作成したので説明したいと思います。

専門医取得条件は従来と変更ありません。経験手術症例数350例、執刀症例数120例を3年間の間に経験しなくてはなりません。
将来どの分野に進みたいかにもよりますが、基本的には2年間は大学で研修し、最後の1年間は関連病院で修練を積むという構成です。
大学での2年間で上記4科を回って頂きますが、各個人の希望により期間、順番を決められるように柔軟性を持たせてあります。
もちろん乳腺センターを回ることも可能です。

獨協医科大学第二外科の特徴について説明したいと思います。
当科では、肝胆膵疾患に対する手術を積極的に施行しており(肝切除120~140例、膵切除40~60例)、さらに、生体肝移植、脳死膵腎移植も施行し良好な成績を収めております。
消化管手術症例も豊富であり、大腸癌に対する手術は年間120~130例施行しております。
特に、肝部分切除、外側区域切除、膵体尾部切除、胃切除、結腸切除に、腹腔鏡下手術を積極的に導入し、低侵襲手術を心がけております。

得られた臨床データは、国内・国際学会で発表する機会があり、さらに英文論文にするチャンスもあります。
必ずや先生方の有意義な研修に貢献できると確信しております。

是非獨協医科大学外科専門医専攻コースに参加して頂き、外科専門医取得を目指して頂きたいと思います。

第二外科教授
(獨協医科大学外科専門研修プログラム統括責任者)
窪田 敬一
獨協医科大学外科専門医プログラムについて説明させて頂きます。第一外科と関連施設では当プログラムにおいて、消化管の外科を中心とした消化器一般外科と小児外科の研修が可能です。
当教室は最高水準の医療を提供できるように、食道外科、胃外科、大腸肛門外科と小児外科の4グループに別れ、各領域のスペシャリストによって診療を行っています。外科治療のハイボリュームセンターとして、栃木はもとより北関東周辺から来られる数多くの患者さんの手術を行っており、年間手術症例数は800例を越えております。

当教室では「低侵襲」をキーワードに、「侵襲の少ない手術」として合併症が少なく安全で確実な手術を目指しています。内視鏡下手術を積極的に取り入れながら、より精度の高い手術を期待できるダビンチXiを用いたロボット支援下手術を2019年1月から導入しております。胃癌のロボット支援下手術に関しては、内視鏡外科学会公認のプロクター資格を有した私が指導できる体制をとっています。
次世代を担う消化器・小児外科専門医の育成には特に力を注いでいます。前述の基本方針に基づき、安全かつ確実な手術を高い技術で遂行できる若手外科医の育成を行っております。アニマルラボでの内視鏡外科手術のトレーニング、カダバトレーニングセンターでの高度な内視鏡外科手術トレーニングセミナー、模擬腸管やダビンチの実機を用いた外科手技トレーニングを年に数回行う一方、教室内には常時内視鏡外科の縫合結紮練習ができる環境を整えています。
今後、必須となる内視鏡外科学会の技術認定医を段階的に取得できるプログラムも開始しております。このように内視鏡外科手術の教育に関しては、豊富な経験と実績があります。
教室員一同、次世代を担う若手医師の皆様に消化管外科、内視鏡外科など外科学の魅力を伝え、教育することにより、地域医療に貢献したいと考えています。腹腔鏡下手術やロボット支援手術など低侵襲手術に興味のある、若い皆さんの入局を心からお待ちしております。

第一外科教授
小嶋 一幸
新しい外科専門医制度は最初の3年で消化器・一般外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科の4部門を回り外科全般を広く研修するものです。

一般的な外科専門医を取得した後、2階建てのsub-specialityである4科へそれぞれ進み3年でsub-specialityの専門医を取得します。
最初の3年の外科の基本を学ぶ獨協医科大学プログラムでは4分野を効率良くローテートする中で、それぞれの分野の知識や技術を習得することは当然、外科医としてあるいは医師として必須の素養であるProfessionalism、Scholar/Teacher、Health Advocacy、Management and Leadership、Collaboration、Medical Expertise、Judgment – Clinical Decision Making、Technical Expertiseを身に付けてもらいたいと思います。

外科を目指す人の中でも3年広く浅くローテートした後にsubspecialityを決める人や既にsubspecialityを決めて外科プログラムを回る人など個々人の希望に沿ってsubspeciality重点コースや満遍なく回る一般コースなど柔軟性のあるプログラムです。
更に栃木県を中心に多くの連携病院と提携しており、これも個人の希望に沿って研修連携病院を決めたいと思います。

外科は3K職の一つと言われ敬遠される向きもありますが、外科治療でしか救命できない疾患は多々あります。
高度な知識と技術を持って困難な手術に臨み生還した患者さんの笑顔、これほどやり甲斐があり医者冥利につきる診療科はありません。
是非、熱意ある皆様のお越しをお待ちしております。

最後に適塾の緒方洪庵先生の訳書「扶氏医戒の略」から次の言葉を贈ります。

医の世に生活するは人の為のみ、おのれがためにあらずということを其業の本旨とす。
安逸を思はず、名利を顧みず、唯おのれをすてて人を救はんことを希ふべし。
人の生命を保全し、人の疾病を復治し、人の患苦を寛解するの外他事あるものにあらず。

心臓・血管外科教授
福田 宏嗣
獨協医科大学・呼吸器外科学講座は、肺・縦隔・胸壁疾患の外科治療を中心として診療しています。
すなわち、心臓・大血管以外の胸部全般を取り扱い、当講座の英語名はGeneral Thoracic Surgery(一般胸部外科)となっています。

また当院は、全国で9施設のみ認定されている脳死肺移植実施施設であり、関東で初の脳死肺移植や生体肺移植を実施してまいりました。 これら呼吸器外科領域の疾患は診断・治療が困難な病気も多く、一般病院での治療が難しい疾患ですが、この領域の専門医が多数いる私たちの科は呼吸器領域のセンター的診療科として、北関東一円から症例が集まっています。
特に肺癌・胸腺腫瘍の手術数および手術成績は関東でも有数であり、さらなる治療成績の向上のため日夜努力しています。また、手術だけを行なうのではなく、診断から手術、術後補助化学療法まで一貫して行ない、万が一の再発に対しても癌化学療法・放射線療法・緩和治療などを組み合わせた集学的治療を行なっています。

一方では、気胸・肺抗酸菌症・膿胸・肺アスペルギルス症などの良性疾患も数多く経験しています。
肺移植では、進行性の呼吸器疾患で余命に限りある症例を対象に、脳死片肺移植、脳死両肺移植、生体肺移植手術を実施しております。

呼吸器外科教授
千田 雅之
獨協医科大学外科専門医プログラムおいて乳腺センター、乳腺科で研修できる内容についてご説明させていただきます。
当センターは講座ではありませんが大学病院の診療科の一部門として独立して活動しております。乳腺疾患を手術だけでなく包括的に診療できる体制を整えております。手術に関しては、2019年は174例であり、栃木県内のみならず埼玉、茨城、東京方面からの患者さんが多数受診されております。外科研修プログラムでは学外の施設でも研修することになりますので、学外での経験症例を合わせれば、乳腺疾患に関しては十分な症例数を経験できます。

科長の私ががんゲノム診療支援室の副室長を兼務している関係もあり、当科の特色はがんゲノム医療を推進している点があります。保険収載されたパネル検査を施行できる体制を整えていますので、今後ますます患者さんが増加することが予想されます。乳腺疾患で経験できる手術は、胸筋温存乳房切除術、乳房温存切除術、乳房再建術、腋窩郭清術、センチネルリンパ節生検、腫瘍摘出術などがあります。乳腺疾患の手術に必要とされる、切開、剥離、止血、結紮などの技術はどの外科系診療分門に進んでも必須の手技ですので、可能な限り、術者、もしくは第一助手となって手術に入っていただきます。また、当科は日本乳癌学会の認定施設でもありますので、外科専門医プログラムが3年間終了した後、最短でその1年後には乳癌学会の認定する乳腺専門医受験が可能になります。今までは、乳腺専門医を目指す外科専攻医がいませんでしたので、乳腺専門医を目指すための研修コースを設けてきませんでしたが、希望者がいれば適宜対応し、研修コースを設ける予定です。

乳腺センター長 学内教授
林 光弘
獨協医科大学病院の小児外科は第一外科の一部門であり、専門のスタッフが診療にあたっております。小児外科では新生児外科疾患、小児消化管疾患、小児一般外科疾患、小児悪性腫瘍さらには外傷・救急疾患に対して24時間体制で対応しています。
平成30年4月から新専門医制度となり、基盤領域である外科専門医プログラムが新たに開始されました。サブスペシャリテイー領域である小児外科も新小児外科専門医制度による研修開始宣言ができる予定です。同時に新外科専門医プログラムでも、従来の外科専門医プログラムと同様10例の小児外科症例の経験が義務づけられています。
小児外科では、外科専門医の研修期間にローテーションしていただき、十分な経験をしていただくよう心掛けております。
当院小児外科部門は日本小児外科学会の認定施設でもあり、年間の手術総数は約250例であり、このうち新生児手術数はおよそ20例であります。
小児外科領域においても積極的に腹腔鏡手術を導入し、虫垂炎手術のほとんどは腹腔鏡補助下の手術でありました。さらに小児鼠径ヘルニアに対する単孔式腹腔鏡下手術を男女ともに施行し、症例数は順調に増えヘルニアの手術の約半数となっています。
専門医を目指す研修医の先生方には学会主催の内視鏡手術手技セミナーにも積極的に参加してもらっております。
消化器外科、呼吸器外科、心臓・血管外科、乳腺外科とも協力して、より充実した外科研修の場を提供したいと考えております。

小児外科
(第一外科学内教授)
土岡 丘