DIABETES ENDOCRINE 糖尿病内分泌

糖尿病・内分泌分野では十分な経験と専門的知識を持つ医師により患者さんに寄り添ったきめ細かな治療を心がけております。

糖尿病分野

2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病等が対象となります。平成30年度の当科の年間の糖尿病患者の症例数は約6400例であり、 これは全国的に見ても非常に多く、当科は地域の糖尿病治療の中心的役割を担っております。

糖尿病はわが国におきましては遺伝的な素因を持ち、これに環境的な要因(過食、運動不足)、加齢的要素が加わり発症する 2型糖尿病が大半を占め、当科におきましても糖尿病患者の大多数は2型糖尿病です。 2型糖尿病は網膜症(失明の原因の第一位)、腎症(透析の原因の第一位)、神経障害の3大合併症を引き起こすのみならず、 動脈硬化症に基づく心筋梗塞等の虚血性心疾患や脳血管障害の重要な危険因子にもなります。

3大合併症の進展予防には血糖コントロールが極めて重要です。最近は新しい薬剤も多数使用できるようになり、以前よりきめ細かな治療が可能となってきております。 当科におきましては、十分な専門的知識を持った医師により患者さん個々にとって最適と考えられる治療を行っており、 必要に応じて新しい治療薬も積極的に用いて、安全でより質の高い血糖コントロールを達成できるように努めております。 また動脈硬化症の予防には脂質異常症や高血圧に対する管理も必要です。 脂質異常症や高血圧は2型糖尿病と合併しやすく、これらの疾患に対しても積極的に治療の介入を行っております。

検査に関しましては神経障害に対する神経伝導速度検査(運動、感覚神経)、心電図R-R間隔変動検査(自律神経)、 起立試験(自律神経)、腎症に対して早期腎症の発見に有用な尿中アルブミンやL-FABP等のマーカー、 また動脈硬化症の評価には頚動脈エコー等の検査を積極的に導入しております。

網膜症の評価に関しては眼科、虚血性心疾患に関しましては循環器内科との連携を図りながら正確な合併症の評価に努めております。 更に最近、新たな血糖コントロール評価法として持続血糖測定(CGM)やフラッシュグルコースモニタリング(FGM)が普及してきております。 当科におきましても、外来、入院とも積極的に施行して、より良好な血糖コントロールを目指す治療に役立てております。

なお、糖尿病では患者さんの教育が非常に重要です。 当科におきましては常時20人前後の糖尿病患者さんが入院しており、医師、看護師、薬剤師、栄養士、及び臨床検査技師よりなる チームにより糖尿病教室を開いて、患者さんの教育に勤めております。特に、当科の糖尿病教室の特色として独自のエクササイズプログラムを用いた運動療法( To Do! EXE e-learning もご参照ください)に力を入れております。さらに様々な診療科と連携して、糖尿病に関連する合併症に迅速かつ的確に対応しております。

1型糖尿病は全体的に占める割合は少ないものの、治療にはより専門的な知識と高度な技術が必要です。 当科ではインスリン持続皮下注入(CSII、インスリンポンプ)治療も 積極的に導入しており、成果を上げております。また2019年4月に橋本教授赴任以来、専門領域である妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠にも力を注いでおります。

about To Do ! EXE® e-learningTo Do ! EXE® e-learning(トゥードゥーエグゼ イーラーニング)とは

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インターネットを介してクイズ形式で学習できる「糖尿病運動療法教室」です。
知識編8問、実践編8問の合計16問のクイズに回答し、その正解率を確認できます。
またすべての問題に対する詳細な解説動画もご覧頂くことができます。

スマートフォンでも利用可能であり、いつでも、どこでも「糖尿病運動療法」に関する基礎知識を学ぶことができます。どなたでも無料でご利用いただけます。

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内分泌分野

内分泌分野には甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎等)、視床下部、下垂体疾患(末端肥大症、 尿崩症等)、副甲状腺疾患(原発性副甲状腺機能亢進症等)、副腎疾患(副腎機能不全、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、 褐色細胞腫等)、その他性腺疾患等があります。 当科ではこれらの内分泌疾患に加え、肥満症、脂質異常症、高尿酸血症等の代謝疾患も対象としております。

平成30年度におきましては当科において甲状腺および副甲状腺疾患は約3200例(橋本病、バセドウ病が大多数)、下垂体・視床下部・副腎疾患が 約600例となっております。橋本病の患者さんは特に女性において非常に多く、甲状腺ホルモン補充療法を行います。 バセドウ病は主として薬剤(チアマゾール、プロピルチオウラシル)により治療を行いますが、甲状腺の腫脹が大きく 薬物治療の効果が十分に期待できないと判断された時、副作用によりこれらの薬剤が使用できない時、 薬物治療が長期に及ぶ時等はアイソトープ治療や手術治療も考慮いたします。

当科ではアイソトープ治療も施行可能であり、手術も外科と連携して施行可能な体制となっておりますので患者さんの病態に応じて 適切な対応ができます。 また視床下部、下垂体、副甲状腺、副腎等の内分泌疾患は負荷試験や画像による評価が重要であります。 当科ではこれらの疾患に対しましても専門の知識を持った医師による適切な検査に基づく正しい診断及び最適な治療を心がけております。

また令和元年7月からは、耳鼻咽喉科とタイアップして甲状腺専門外来を開設します。当科の担当は橋本教授で、完全予約制で毎週金曜日午後3時から4時30分までです。詳しくは 病院ホームページをご覧ください。

study研究について

糖尿病・内分泌分野では現在下記のテーマによる基礎および臨床研究を展開しています。

  • 遺伝子特異的なDNA脱メチル化を導入する基礎研究
  • バセドウ病の再燃再発を予測する新規バイオマーカー(Siglec1)に関する臨床研究
  • エピゲノム記憶を応用した新規肥満治療に関する臨床研究
  • 妊娠糖尿病を罹患した母親およびその子の追跡コホート研究
  • 持続血糖モニター装置(CGMS)を用いた糖尿病患者の最適治療に関する臨床研究
  • インスリン抵抗性と糖尿病の病態に関する基礎および臨床研究
  • 長寿遺伝子による血管老化制御機構に影響を及ぼす因子に関する基礎研究
  • 各種サイトカインおよび酸化ストレスと糖尿病合併症に関する臨床研究

現在、大学院生を広く募集しています。当教室の研究にご興味のある方はお気軽にご連絡ください。