類似した解剖用語(日本語・英語)の違いを説明できるか?(頻出問題)
手根 carpus と 手根骨 carpals
or
carpal bones
→手根は
体部
、手根骨は
骨格
。手根の内部に手根骨がある。
平面 plane と 断面 section と 表面 surface と 平板 (flat) plate
→物体を
平面
で切ることにより、
断面
ができる。平面は無限、断面は有限のサイズ。
→物体が外界に接する部分が
表面
。平らで薄い板が
平板
。
冠状動脈 coronary artery と 冠状面 coronal plane
→
coronary
= resembling a crown
冠のような
;ラテン語では arteria coronaria 冠状動脈。
→
coronal
= of a crown
冠の
;ラテン語では plana coronalia (coronal planes) 冠状面、 sutura coronalis (coronal suture) 冠状縫合。
椎間円板 intervertebral disc と椎間結合 intervertebral symphysis
→隣接する椎体の間には
椎間円板
という線維性軟骨があり、この連結様式を
椎間結合
(軟骨性連結)という。
椎間結合 intervertebral symphysis と椎間関節 zygapophysial joint
→椎間結合は椎体間の
軟骨性連結
、椎間関節は関節突起間の
滑膜性連結
(=関節)
骨端軟骨 epiphysial cartilage と関節軟骨 articular cartilage
→教科書の説明図を参照。
基本構造 basic/common sturcture と特殊構造 specific/individual structure
→関節の
基本
構造、椎骨の
基本
構造は頻出問題。
頭蓋 cranium/skull と頭蓋骨 bones of cranium
→頭蓋は頭部の
骨格
、23個の
頭蓋骨
から構成される。
頭蓋冠 calvaria と脳頭蓋 neurocranium
→頭蓋の後上方が
脳頭蓋
- 頭蓋腔の周囲の骨格 - それ以外の下前方が
顔面頭蓋
(咀嚼器・嗅覚器・視覚器などを含む)
→脳頭蓋を眉間と外後頭隆起を通る面(≒水平面)で切断したとき、上の部分が
頭蓋冠
- 下の脳頭蓋の残りと顔面頭蓋を合わせて
頭蓋底
という。
脊柱 vertebral column と椎骨 vertebra と脊椎 spine
→
脊柱
は背部の骨格で、成人では26個の
椎骨
から構成される、子供では33個(尾椎を4個とすれば)からなる。
→
脊椎
は解剖学用語ではない、臨床医学や動物学では脊椎が脊柱や椎骨の意味で使われることがある。
median
と
medial
→
median
は正中、
medial
は内側。
脊髄 spinal cord と脊髄神経 spinal nerve
→脊髄神経は
PNS
で、
CNS
の脊髄から出る。
胸腔 thoracic cavity と胸郭 thorax/thoracic skeleton
→
胸郭
の内部空間を
胸腔
という。
関節 synovial joint/articulation と連結 junction/joint
→
滑膜性の可動性連結
を関節という。
→不動性連結には、
骨性・軟骨性・線維性
の3種が含まれる。
回外 supination と外反 eversion と外旋 lateral rotation
→(細長い)体部の
上下軸
(垂直軸)まわりの回転を回旋 rotation といい、
解剖学的正位が前提
となる。
→対性体部(四肢に属する)の回旋には2種類あり、前面が外側に向かう向きの回旋を
外旋
lateral rotation、内側に向かう回旋を
内旋
medial rotation という。
→前腕の外旋・内旋を
回外・回内
というが、回外・回内は
解剖学的正位は前提とせず
に使用される。
→前腕を机上に載せ、手掌が上を向く(仰向けなる=
supine
)回転を回外
supination
という。
→逆に、手掌が下を向く(うつ伏せなる=
prone
)回転を回内
pronation
という。
→足の小趾側を上げる回旋を
外反
eversion という ― これは前腕の
回内
pronation に相当する。
→足の母趾側を上げる回旋を
内反
iversion という ― これは前腕の
回外
supination に相当する。
運動 motion と筋 muscle (
動詞・名詞と筋名
)
→
動詞
: flex, extend, abduct, adduct, rotate, pronate, supinate, invert, evert, -, dilate, constrict, -, elevate, depress, oppose, -, protract, retract
→
名詞
: flexion, extension, abduction, adduction, rotation, pronation, supination, inversion, eversion, -, dilation, constriction, tension, elevation, depression, opposition, reposition, protraction, retraction
屈曲、伸展、外転、内転、回旋、回内、回外、内反、外反、-(括約)、散大、収縮、緊張、挙上、下制、対立、復位、前進、後退
→
筋名
: flexor, extensor, abductor, adductor, rotator, pronator, supinator, -, -, sphincter, dilator, constrictor, tensor, levator, depressor, opponens, -, -, -
屈筋、伸筋、外転筋、内転筋、回旋筋、回内筋、回外筋、-、-、括約筋、散大筋、収縮筋、張筋、挙筋、下制筋、対立筋、-、-、-
外側 lateral と外 (or 外方) external
、
内側 medial と内 (or 内方) interna
l
→解剖学実習で、外側を
そとがわ
、内側を
うちがわ
と読んでいる限り、この区別が明確になっていないと自覚すべき。
→人体は左右対称であるが、左半身 or 右半身のいずれに対しても、一貫して適用可能なのが
lateral/medial
。肉眼解剖学書や解剖学実習書でよく見かける表現だが、組織学書で使われることはない。
→
内・外 or 内方・外方
は、対称性に無関係で、
内部
か
外部
or
深い
か
浅い
に対して適用される。
→内側・外側は
正中面からの距離
、内・外は
中心からの距離
で使い分ける。
骨盤 pelvis と下肢帯 pelvic girdle
→下肢の最も近位が
下肢帯
- 下肢の付け根にあたる -
寛骨
(腸骨・坐骨・恥骨)からなる。
→左右の
下肢帯
と仙骨・尾骨によって構成される骨格が
骨盤。
上肢 upper limb/extremity と上肢帯 pectoral/shoulder girdle
→上肢の最も近位が
上肢帯
- 上肢の付け根にあたる - 肩甲骨と鎖骨からなる。
→上肢帯や下肢帯は
体部と骨格の両方の意味
で使われる。
→体部として用いると、
上肢
= 上肢帯 + 自由上肢。この上肢帯は胸から上腕への移行部である
肩の意味
。
→骨格として用いると、
上肢骨格
= 上肢帯 + 自由上肢骨格。この上肢帯は、
肩甲骨と鎖骨
。
咽頭 pharynx と喉頭 larynx
→気道 (鼻 -
咽頭
-
喉頭
- 気管 - 気管支 - 細気管支 - 肺胞管) は
呼吸器
系の基本事項。
→消化管
[食物の移動経路]
(口 -
咽頭
- 食道 - 胃 - 腸 - 肛門)は
消化器
系で
喉頭を含まない。
腹膜 peritoneum と会陰 perineum
→
会陰
(骨盤腔の下壁;左右の坐骨結節、恥骨結合下端、尾骨尖端によって囲まれる領域)の上面は
腹膜
で被われている。