樹状細胞 (dendritic cell) は、1973 年にロックフェラー大学のスタインマン博士らによって発見された、歴史の新しい細胞である。名が示すとおりの突起を四方八方に突き出すこの細胞は、抗原提示の専門家で、自分が取り込んだ抗原を「こんな物質があるよ」と免疫系の細胞に教える、生体防御にとってきわめて重要な細胞である。
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樹状細胞と私のつきあいは20年余りになる。私たちは肝臓に感染が起こると、樹状細胞(前駆体)が血流に乗って肝臓に駆けつけ、クッパー細胞(マクロファージ)に接着して、抗原を取り込むと、こんどはリンパ管を流れてリンパ節に行き、免疫応答を起こすという忍者さながらのはたらきをすることを明らかにした。この発見は、試験管の中での実験では無く、生体内での観察によるもので、私たちの in vivo 免疫学(個体レベルでの免疫学)のひとつの勝利だった。
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