尿膜管遺残

発生

胎生の早期に臍帯(へその緒)と腸は卵黄のう管(臍腸管)でつながり、臍帯と膀胱は尿膜管でつながっています。尿膜管はその後、退化して膀胱と臍(おへそ)との連続はなくなります。図は正常の臍(おへそ、黒矢印)と尿膜管(赤矢印)、膀胱(青矢印)の関係を示します。

胎生期の尿膜管の退化が不完全な場合に、遺残した尿膜管(尿膜管遺残)が原因となり臍から尿の排泄がみられたり、感染をおこして化膿することがあります。尿膜管遺残はその形態により尿膜管瘻(図上)、尿膜管洞(同中)、尿膜管のう胞(同下)などと呼ばれます。

治療

尿の排泄や感染などの症状がみられる場合には外科的切除の対象となります。尿膜管遺残の切除には腹腔鏡を用いた手術も行われます。図は尿膜管のう胞(cyst)の腹部超音波検査所見(図左)と、感染をともなう尿膜管のう胞のCT像(図右)で臍部へ連続している様子がわかります。このような場合、感染の軽快後にのう胞の切除術を行います。