先天性水腎症(腎盂尿管移行部狭窄)

特徴

腎臓で作られた尿は、腎杯から腎盂を通って、尿管、膀胱へと流れます(図)。腎杯、腎盂が拡張し、尿が貯まっている状態を水腎症と呼びます。

先天性水腎症は、妊娠中の胎児超音波検査や乳児期の超音波検査で発見されます。腎盂と尿管の移行部の尿通過障害(腎盂尿管移行部狭窄)が原因です。

診断

超音波検査により水腎症の程度を判定します(図)。

水腎症の程度は1度(腎盂のみが拡張)、2度(腎盂・腎杯が拡張)、3度(腎盂・腎杯が大きく拡張)、4度(腎杯・腎盂の拡張と腎皮質の菲薄化あり)に分類されます。
超音波検査に加えて、CT、MRIによる尿路の形態評価、レノグラム、腎シンチグラムによる腎機能評価、膀胱造影(VCUG)による膀胱尿管逆流(VUR)の有無などの検査を行います。

治療

先天性水腎症の80%は自然によくなるといわれます。しかし、特に3度、4度の水腎症で、水腎の程度が悪化する場合、腎機能が低下する場合、尿路感染、腹痛、血尿などの症状がある場合には手術の対象になります。手術では、腎盂尿管移行部の狭窄を切除し、尿が流れやすくなるように腎盂尿管を新たに吻合します。水腎の程度が強い場合には、体外から腎盂へカテーテルを挿入して腎杯・腎盂の減圧を図ることがあります。図は、手術時の造影写真を示します。尿は腎盂尿管移行部の部分で流れが悪くなっています。

*年長児になって、腹痛、悪心・嘔吐、血尿、腹部腫瘤などの症状が出て発見される水腎症も手術の対象となります。