原因
小児の膵仮性のう胞は外傷後に発生することが多く、自転車のハンドルによる上腹部の強打や交通外傷などにより膵管(膵液を送る管)が断裂し膵液が漏れることにより形成されます。図は、膵臓内に発生した仮性のう胞(図上)と膵液が貯まって大きくなった膵仮性のう胞(図中)、および膵仮性のう胞(矢印)のCT像(図下)を示します。
治療
胃内容の吸引、絶食、中心静脈栄養、抗生剤投与、タンパク分解酵素阻害剤などの投与(内科的治療)により30-40%が治癒します。しかし、症状や高アミラーゼ血症が続く、長期間(6週間以上)治療を続けてものう胞が小さくならない、のう胞の大きさが直径5cm以上などの場合には手術が必要になります。手術は、内瘻術と外瘻術に分けられます。内瘻術はのう胞の内容を胃や空腸に導く手術で、のう胞胃吻合術、のう胞空腸吻合術、内視鏡下瘻孔作成術などがあります。外瘻術はのう胞の内容を体外に導く手術で、経皮ドレナージ術、経皮経胃ドレナージ術などがあります。 図は、長期の絶食、内科的治療と手術を必要とした膵仮性のう胞の経過を示します。