膵芽腫

発生

膵芽腫は膵臓にできる悪性腫瘍ですが、小児悪性腫瘍全体の0.15%と極めて稀な腫瘍です。膵芽腫細胞は外分泌組織、内分泌組織両方の性質を有することから、膵芽腫は膵臓をつくる元となる細胞から発生すると考えられています。

特徴

膵芽腫には、1)新生児から成人にみられるが、80%は10歳以下の小児に発生し、年齢の平均は5歳で、5歳以下では男児が多く10歳以上では女児が多い、2)腹部腫瘤、腹痛、体重減少、嘔吐、全身倦怠感、黄疸、下痢など の症状を呈する、3)30-40%ではすでに診断時に転移を認め、転移は肝転移が最も多く、次いでリンパ節、肺、骨などにも転移する 、などの特徴があります。

診断

血液検査では、α‐フェトプロテイン(AFP)、LDH、エラスターゼ Iなどの膵酵素を測定します。画像検査では、超音波検査、CT、MRIなどが必要です。

治療

手術による摘出を行いますが、摘出困難な場合、あるいは転移がある場合には化学療法、放射線療法などが用いられます。治療成績は、摘出できた場合の5年生存率が65%、摘出困難な場合には4年以上の生存は難しいとされています。手術後の局所再発は概ね3年以内にみられ、局所再発例の5年生存率は約50%です。診断時に転移を有する例や手術後の転移再発例では20-25%の5年生存率です。