壊死性腸炎

発生・診断

壊死性腸炎は未熟な腸管が分娩前後の低酸素状態、腸内細菌、ミルクの投与などにより障害をうけ炎症、壊死や穿孔をおこす状態で、低出生体重(特に出生体重1500g未満)の新生児に多くみられます。腹部の膨満、哺乳量の減少、胆汁を含んだ嘔吐、血便などの症状が現れ、進行すると腹膜炎、敗血症、ショック、出血傾向などにより重篤となります。 全身状態、腹部所見に加え、腹部レントゲン検査、超音波検査、血液検査などにより診断します。図は、腸管の一部に炎症、壊死がおこり出血や穿孔、腹膜炎の原因となることを示します。

治療

壊死性腸炎が疑われたら抗生物質の投与、ミルクの中止による消化管の安静などによる保存的治療を開始します。症状が改善せず進行する場合には高カロリー輸液や交換輸血なども行われます。さらに進行して穿孔を認めた場合には手術が必要となります。穿孔部の切除、腸瘻造設、ドレナージ(腹腔内にもれた便や膿を体外に誘導)などを行いますが、死亡率は20%~40%で、治癒しても腸管の狭窄や短腸症候群などの後遺症を残すことがあります。