メッケル憩室、臍ポリープ

発生

胎生早期(妊娠7週頃まで)に卵黄のうと中腸をつないでいる卵黄のう管(臍腸管)でつながっています。卵黄のう管はその後の発生段階で消失します。図は、正常の臍(おへそ、緑矢印)と小腸(青矢印)の関係を示します。

卵黄のう管が消失せずに残るとメッケル憩室(図上)、臍腸瘻(図中)、臍腸管索(図下)の原因になります。

臍部に卵黄のう管の一部が残ると臍ポリープ(図)の原因になります。

メッケル憩室

卵黄のう管が小腸側に残ったもので下血、腸閉塞、腸重積、憩室炎、憩室穿孔などの原因となります。下血はメッケル憩室内にある異所性胃粘膜から分泌された胃酸が隣接する小腸粘膜に潰瘍をつくるためです。腸閉塞はメッケル憩室につながる索状物(血管のなごりでひも状の構造物)に腸がはまり込むことが原因です。メッケル憩室が腸内に入り込むと腸重積の原因ともなります。いずれも乳幼児期に発症することが多い状態です。診断は、異所性胃粘膜がある場合にはシンチグラムによる診断が可能です。 治療は、メッケル憩室の切除を行います。図は、腸重積の原因となったメッケル憩室を示します。

臍腸瘻

卵黄のう管が閉じずに残ったもので、臍から便が排泄されます。

臍腸管索

臍から小腸までの間にひも状の構造物が残ったものです。腸管が絡むと腸閉塞の原因になります。

臍ポリープ

臍部の淡紅色の半球状のポリープで粘膜組織を有するため切除が必要です。