腸間膜のう胞・大網のう胞

特徴

腸間膜のう胞と大網のう胞は腹部の腸間膜または大網と呼ばれる部位にできるのう胞(ふくろ状の腫瘤)です。発生原因はリンパ組織の形成異常とする説が有力です。 腹痛や嘔吐で発症し、腹満や腹部腫瘤を症状とします。腹部超音波検査、CT、MRIなどにより診断されます。図は、腸間膜のう胞のCT像(黒矢印)を示します。

病態

のう胞は腸を圧迫したり、腸にねじれ(腸捻転)をおこし、このため腸の内容がとおらなくなる腸閉塞の原因となります。腸のねじれは放置すると腸の壊死を引き起こし、重篤な状態になります。のう胞に感染をおこした場合には腹痛、発熱の原因となり、急性腹症として緊急手術が必要になることがあります。また、のう胞内に出血をおこすと、のう胞が急に大きくなります。図は、小腸の腸間膜のう胞で白色の乳糜(にゅうび)を内溶とし、その重みのため小腸が捻転をおこしている様子を示します。

治療

診断がついたら外科的に切除する必要があります。特に腸閉塞や腹膜炎の症状を認める場合には緊急手術の対象となります。手術はのう胞の摘出が原則ですが、腸間膜のう胞では腸の一部を切除しなくてはならないことがあります。図は、切除した 小腸の腸間膜のう胞です。