腸回転異常症

発生

十二指腸から横行結腸までの腸管は胎生6週から11週頃(妊娠1カ月から3カ月頃)に血管(上腸間膜動脈)を中心に反時計方向に3/4回転(270度)し、固定されます。図は正常な腸の回転を示します。この回転が不十分なために起こる腸管の障害を腸回転異常症といいます。

診断

新生児期に胆汁を含んだ黄色の嘔吐で発症しますが、新生児期をすぎて嘔吐や腹痛で診断されることもあります。図は、十二指腸の上を膜(ラッド靭帯)が被って嘔吐の原因となる場合(図上)と、小腸が捻転(中腸軸捻転)をおこし血便や広範囲の腸管壊死の原因となる場合(図下)を示します。他に、腸管の固定が不良な部位に小腸が入り込み(内ヘルニア)、腸閉塞症の原因となることもあります。腸回転異常症の診断には腹部超音波検査や胃十二指腸造影検査、注腸造影検査などが行われます。

治療

手術による治療が必要です。ラッド靭帯を切離し十二指腸の圧迫をとり、さらに中腸軸捻転をおこさないよう腸間膜を広げます(ラッド手術)。また将来、虫垂炎を発症した時に虫垂が正常の位置にないため診断が難しくなる可能性があることを考え、予防的に虫垂切除を行うのが一般的です。