手足の(先天)異常

特徴

小児形成外科で扱う手足の(先天)異常には、以下のように様々な状態があります。いずれも機能と整容の両面をできるだけ満足できるように形成術を行います。

多指(趾)症

指が6本以上ある状態です。日本人では手の先天異常の中で最も多く、母指はものを掴む、つまむという重要な機能を持つため手術が必要です。足は第5趾の多合趾症が最も多く、歩行開始前に手術をします。X線撮影で骨の状態を確認し、切除する部分を決めます。

合指(趾)症

指と指が分かれていない状態です。手術で癒合した部分を分け、皮膚の不足した部分には植皮を行います。中指の合指は将来の変形を防止するため、早めの手術が必要です。足の合趾は歩行開始前に手術します。

絞扼輪症候群

妊娠中の何らかの原因で指や腕、足の血行が障害され、指が癒合、あるいは切断などの状態となります。腕や下肢に絞扼輪と呼ばれるバンドができることもあります。出生後の緊急手術で絞扼を解除できる場合もありますが、すでに切断されている場合は骨の延長や、指の分離で使いやすい状態に修正します。バンドがある場合には、手術で皮膚のひきつれを改善します。

橈側列形成不全

母指が小さい、あるいは欠損している状態です。前腕の橈骨も低形成、あるいは欠損している場合が1/3にみられます。母指の対立機能を獲得するための手術を行います。

尺側列形成不全

小指側の指が低形成な状態です。橈側列形成不全と同様1/3に腕の骨の形成異常をともないます。障害が約3分の1に見られます。再建手術を行います。

合短指症

指が短く、癒合している状態で、指の長さは様々です。胸の大胸筋が欠損している場合はポーランド症候群とよばれます。指の形成術、乳房形成術などを行います。

裂手(足)症

中央の指がない状態です。

巨指(趾)症

指が他の指に比べ太く、長くなる状態です。第2次成長期に急激に大きくなることがあります。

第4趾短縮症

第4趾の骨が短いために浮いてしまう状態です。

斜指

小指に多く、骨の変形が原因で指が曲がって見える状態です。骨の移植を骨端線が閉鎖した頃に行います。

爪の変形

爪が小さかったり、割れていたり、なかったりする状態です。爪の下にある骨に異常をともなうかX線検査で確認します。

ばね指(強剛母指)

拇指の第1関節が曲がったままの状態をいいます。母指の付け根にしこりを触れることがあります。装具による矯正、または手術を行います。手術はしこりになっている腱鞘を切除します。