レーザー治療(血管性病変)

特徴

従来、血管腫とよばれた血管性病変は、血管性腫瘍(血管腫)と血管奇形の二つに分けられます。

乳児血管腫

乳児血管腫はこれまで苺状血管腫とよばれたものです。出生後しばらくして気付かれ(新生児の0.8%)、徐々に増大します。その後に縮小し、通常、5歳頃までに消退するという経過をたどります。女児に多く、頭頸部、体幹、四肢に好発します。局面型、腫瘤型、皮下型に分類され、腫瘤型や皮下型では消退した後に皮膚表面にちりめん皺やもり上がりが残ることがあります。血管腫の部位や大きさなどにより積極的な治療を選択する場合は、薬物治療(ステロイドやプロプラノロール)、レーザー治療などを行います。レーザー治療は早期から開始すると、消退後に生じる瘢痕を軽減できる効果が示されています。図は、腕(図上)、体幹(図下)の乳児血管腫で、それぞれレーザー治療の前後を示します。

毛細血管奇形

毛細血管奇形はこれまで単純性血管腫とよばれたものです。生下時からみられ(発生率0.3%)、ピンクから赤色を呈し、自然には消えません。成人になると暗赤色になります。周辺組織の肥大(過形成)をともなうことがあり、特に顔面にある場合には大唇症、歯槽過形成、歯肉腫、上顎突出、不整咬合などの原因にもなります。治療は、レーザーが有効で、色調を薄くすることができます。皮膚の肥厚などの変化が生じる前に早期から治療を開始します。レーザー治療には一定の期間と回数が必要です。図は、顔面の毛細血管奇形で、レーザー治療の前後を示します。