異物・誤飲

特徴

食物以外の物を誤って口から摂取することを誤飲といいます。誤飲したものが腸から吸収されないで便中に排出されるか、または摘出する必要があるものを異物といいます。誤飲した物が腸から吸収されて毒性を発揮する場合を中毒といいます。こどもの誤飲は乳児に好発し、3歳未満が90%をしめます。誤飲の多い時間帯は母親が家事に忙しい午前中と夕方から夕食時です。誤飲する物はタバコや硬貨が最も多く、次いで医薬品、化粧品、洗剤、文具などです。嘔吐などの中毒症状、または有害な兆候をみとめることがあります。

食道異物

食道、胃、腸などの消化管に入った異物を消化管異物といいます。食道にひっかかった異物は食道に穴をあけ(穿孔)、縦隔炎をおこし敗血症などの重篤な病気の原因になるため、食道異物は速やかに除去する必要があります。特にボタン型のリチウム電池は起電力が高く、短時間で食道穿孔をおこします。硬貨などの食道異物は無麻酔でも摘出できますが、鋭利な異物や電池、飲み込んでから時間がたっている異物は全身麻酔下に内視鏡を用いて摘出します。図は、胸のX線写真で、食道の入り口にひっかかった百円硬貨が写っています。

胃異物

胃内に入った異物は自然に便中に排出されるのを待ち、経過をみるのが原則です。ただし、ボタン型電池は磁石を用いて摘出します。また、先端の鋭利なもの、複数個の磁石(健康器具用の磁石など)などは摘出したほうが安全です。健康器具に使われる小さな磁石を複数個、誤飲し、腸穿孔になったという事故がおきています。図は、胃内にあるピン(図上)と、磁石を使った胃異物の除去(図下)を示します。

気道異物

気道異物は3歳未満の乳幼児に多く、ピーナッツや玩具(おもちゃの小さい部品)などが原因となります。症状はせき、喘鳴(ゼイゼイした呼吸)、チアノーゼなどで、肺炎や無気肺の原因にもなります。窒息をおこし死にいたることもあります。図は、気管支内に落ちた異物を示します。

異物・誤飲の予防

こども特に乳幼児にとって、手に触れたものを何でも口に持っていくのは特徴の一つです。そうすることにより学習しているとも言われます。しかし、ひとたび誤飲をおこせば時に重篤な事態にもなることもあります。普段からの注意が極めて重要です。こどもが入学するまでは、1)タバコや吸殻はこどもの手の届くところにおかない、2)硬貨など、こどもに必要のないものでは遊ばせない、などが重要です。他に、3)おもちゃは細かい部品があるものは与えない、4)ピーナッツなどの硬い豆類は、家族全員が食べない、なども忘れてはならない重要な注意点です。

中毒

中毒に関する情報として、(財)日本中毒情報センターのホームページにタバコの誤飲などについての情報が掲載されています。