食道閉鎖症

発生・分類

食道と気管は胎生(妊娠)4週から7週頃にかけて前腸という管から形成されます。この形成過程の異常が食道閉鎖症の原因と考えられており、3,000から4,500の出産に1例の頻度でみられます。図は正常の食道と気管の関係を示します。

食道閉鎖症では、上部の食道が盲端に終わり(閉じている)、下部食道が気管につながっている(気管食道瘻)C型(図左)が最も多くよくみられる型で、全体の85-90%を占めまず。次に、上下の食道がいずれも盲端で閉じているA型(図中)が5-10%、E型(H型)(図右)が2-4%の頻度で稀に経験されます。食道閉鎖症のこどもの3人に1人は出生体重2,500g未満の低出生体重児です。また、1/3の症例に心・血管系の奇形を合併する他、脊椎、直腸肛門、腎、四肢、気管・気管支などの異常を合併することもあります。

症状・診断

妊娠中に羊水過多を認めることがあります。これは食道が盲端に閉じているとあかちゃんが羊水を飲み込むことができず羊水が吸収されないためです。羊水過多と出生前の胎児超音波検査により診断されることもあります。出生後は唾液が口や鼻から溢れてきたり、呼吸困難やチアノーゼなどの症状を呈し、カテーテルが胃内に挿入できないことにより診断されます。

治療

C型食道閉鎖症では気管食道瘻の切離と上下食道の吻合を行います。A型食道閉鎖症では上下食道の吻合を行いますが、通常、上下食道の間の距離が長いため、胃瘻を造設した後、上下食道の延長術を行い乳児期以降に食道を吻合します。手術後は造影検査で吻合した食道の状態を確認します(図)。