十二指腸閉鎖・狭窄症

発生・分類

十二指腸閉鎖・狭窄症は膜や狭窄などの先天的な原因により胃液やミルクが十二指腸内を通過しない状態です。出生6,000人から10,000人に1人の割でみられ、30%にダウン症、40%に先天性心疾患、また輪状膵、食道閉鎖症、小腸閉鎖症、腸回転異常症などの消化管の異常を合併することがあります。図は、先天的な膜を原因とする十二指腸閉鎖・狭窄症(図上)、先天的狭窄を原因とする十二指腸閉鎖・狭窄症(図下)を示します。

 

診断

母体の異常として約半数に羊水過多をともな い、胎児超音波検査で拡張した胃と十二指腸が描出されると出生前診断が可能です。図は、十二指腸閉鎖症と出生前診断された例の胎児超音波検査の像です。拡張した胃(図中のGAST)と十二指腸(DUOD)が描出されています。 出生後には腹部のレントゲン撮影で胃と十二指腸の拡張像が写り診断されます。これは特徴的なdouble bubble sign(二泡像)と呼ばれます。

治療

脱水、黄疸などの治療を行い、全身状態が安定していることを確認してから手術をするのが原則です。手術は膜切除術または十二指腸十二指腸吻合術を行います。図は、膜切除術(図上)と十二指腸十二指腸吻合術(図下)を示します。十二指腸十二指腸吻合術では、口側は横に、肛門側は縦に切開し、縫い合わせる(吻合する)ので、別名ダイヤモンド吻合ともいわれます。