クローン病

特徴

クローン病は10代後半から30代前半に好発し、腹痛、下痢、血便などの症状に加え、発熱、体重減少、痔瘻、口腔アフタなど全身におよぶ症状を呈します。腸管には全層性の炎症がみられ、非連続性の”スキップ病変”をつくる特徴があります。

診断

クローン病の診断には、血液、便検査、超音波検査、消化管造影、内視鏡検査などが行われます。血液では血沈亢進、CRPの上昇、貧血などがみられます。栄養状態が悪化すると血清タンパク、アルブミン、総コレステロール、コリンエステラーゼ値などが低下します。超音波検査では、腸管壁の肥厚をとらえることができます。消化管造影検査と内視鏡検査では、縦走潰瘍や敷石像、狭窄などの特徴的な所見がみられます。内視鏡検査では、粘膜の生検を行い、病理診断を実施します。図は、回腸の内視鏡像で特徴的な敷石像を示します。

治療

クローン病の治療は、炎症を抑えて栄養状態の改善をはかる内科的治療が主となります。成分栄養剤や高カロリー輸液を用いた栄養療法と、5-ASA製剤、プレドニン、免疫抑制剤、抗菌薬、インフリキシマブなどを用いた薬物療法が行われます。特に小児のクローン病ではステロイド治療や栄養吸収障害などにより成長障害をきたすことがあるので、積極的な内科的治療が必要となります。腸管の狭窄や瘻孔形成がある場合には手術の対象となり、腸切除術や腸管形成術が行われますが、一般に再発率が高く難治です。