その他の良性腫瘍

神経線維腫

多発性の神経線維腫と皮膚のカフェオレ斑(生まれつきの色素沈着で、うす茶色で地図状の形をして皮膚面は平ら)を特徴とする神経線維腫症は、常染色体優性の遺伝疾患で、レックリングハウゼン(von Recklinghausen)病またはNF1とよばれます。3,000人に1人の頻度で発生し、半数は遺伝子の突然変異による新規の発生です。17番染色体上のNF1遺伝子の異常が原因で、骨の変形、眼の病変、脳波の異常などをともないます。両側聴神経鞘腫を代表とする多発性の中枢神経系の腫瘍を発生するものはNF2とよばれます。約60,000人に1人の頻度で、22番染色体のNF2遺伝子の異常が原因です。

脂肪腫・脂肪芽腫

いずれも脂肪に発生する良性腫瘍です。特に3歳以下の乳幼児に発生するものは未熟な脂肪細胞を含むので脂肪芽腫とよばれます。完全に切除すれば再発は稀です。

乳児線維性過誤腫

新生児や乳児の皮下に発生する良性腫瘍で、腋窩や四肢、体幹に好発します。急に大きくなることもあります。切除が必要ですが、周囲の正常な脂肪組織との境界が不明瞭なため、再発することがあります。再発1年以内にみられ、12%の頻度とされています。図は、腋窩に発生した乳児線維性過誤腫です。切除により治癒しました。

石灰化上皮腫

毛母細胞由来の腫瘍で、石灰沈着をともない皮膚(皮下)の硬い腫瘤として発見されます。顔面や頸、上腕などに好発し、大きさは0.5-3 cm程度です。2個以上の発生をみることもあります。徐々に大きくなり、出血や感染をともなうことがあるので、手術による摘除の対象になります。