気管支原性のう胞

分類

こどもの肺に空気や液体を入れた袋(のう胞)ができ、呼吸障害や肺炎の原因になることがあります。多くは先天的な肺の発生異常が原因ですが、後天的な原因でのう胞ができることもあります。こられをまとめてのう胞性肺疾患といいます。のう胞性肺疾患に分類される疾患には気管支原性のう胞先天性のう胞性腺腫様奇形(CCAM)肺分画症など があります。気管支原性のう胞は肺内にあるものと肺外にあるものに分かれ、肺分画症も肺葉内と肺葉外に分類されます。他に肺胞性のう胞症や肺葉性気腫があり、肺胞性のう胞症にはブラ・ブレブ、肺炎後肺のう胞(ニューマトシール) などがあります。

発生

肺は胎生4週頃、気管支・肺の発生が始まり(図上)、気管支が枝分かれし、気管支の先に肺胞(空気の入る袋)が形成され(図中)、胎生28週頃に生存に必要な肺胞が完成します(図下)。肺胞の発生と分化は8歳頃まで続きます。

気管支原性のう胞は、気管支・肺の発育過程で異常な気管・気管支の発芽、枝分かれなどにより発生すると考えられています。異常が早い段階でおきれば縦隔に、それ以降であれば肺内に気管支原性のう胞ができると考えられています。図は、異常な気管支の枝分かれ(図、赤矢印)を示します。

診断

症状は年齢、のう胞の場所、気管支との交通の有無などにより異なります。 喘鳴(呼吸時のゼイゼイ)、チアノーゼ、呼吸困難などの呼吸障害、感染による肺炎などの症状を呈しますが、呼吸障害は1歳未満の乳児 、感染は1歳以上のこどもに多いと言われています。無症状のまま経過することもありますが、稀に悪性腫瘍が発生したとの報告もあります。気管支原性のう胞は胎児の超音波検査により発見されることもあります。図は、胸痛で発見された肺内気管支原性のう胞のX線像(図上)と、CT像(図下)を示します。

治療

治療は切除が原則です。図は、右肺の気管支原性のう胞を示します。