虫垂炎

特徴

虫垂炎は腹痛、嘔吐、発熱などを主症状とする虫垂の化膿性炎症性疾患です。学童期のこどもに多く見られる病気ですが、2-3歳の幼児にもみられるため注意が必要です。最初はおへその周りや上のほう(胃のあたり)を痛がり、1-2日で痛みが右の下腹部へ移動するのが虫垂炎に特徴的な腹痛です。痛みのためお腹を抱えて前かがみで歩いたり、ジャンプすると右下腹部の痛みが強くなるなどの特徴があります。

診断

診断には血液検査、腹部のX線検査、超音波検査、CT検査などが有用です。超音波検査やCTでは、虫垂の腫れ、膿のたまり、虫垂結石(糞石)などを描出することができます。図は虫垂炎の超音波検査像(図上)、CT像(図下)を示します。

治療

こどもの虫垂炎は穿孔し、腹膜炎に進行しやすいといわれます。進行しないうちに手術(虫垂切除術)をするのが最も確実で、効果的な治療法です。ただし、すでにを穿孔し大きな塊や膿瘍を作っている場合には、抗菌剤で治めてから3-4ヵ月後に待機的虫垂切除術を行います。図は、腹腔鏡下虫垂切除術の様子を示します。

手術後の合併症

虫垂炎の手術後には10%前後の頻度で合併症がみられます。腹腔内に膿がたまる遺残膿瘍、創が化膿する創感染などがあります。虫垂炎が進行している場合には合併症の頻度が高くなります。図は、 虫垂炎術後の腹腔内膿瘍(図上)と、骨盤内膿瘍(図下)のCT像を示します。