急性腹症

特徴

腹痛を訴え、嘔吐や腹満(おなかが大きく膨れる)、下痢、下血などをともない、緊急開腹術を必要とする状態です。こどもは症状を正確に訴えられず、診断が遅れたり、誤診を招いたりすることがあるため、注意深い観察が必要です。特に乳幼児でミルクを飲まない(哺乳力低下)、元気がない、ちょっとした刺激で不穏な(穏やかでない)状態になる(被刺激性の亢進)などの症状は要注意です。 成人に比べ進行が早く、時に致命的になることもあります。

原因

急性腹症の原因は、腸や内臓に穴があいたり破れたりする穿孔・破裂、腸や内臓がしめつけられ血液の流れが悪くなる絞扼(循環障害)、および炎症に分類できます。穿孔・破裂には、消化管穿孔、メッケル憩室穿孔、胆道穿孔、外傷による腸穿孔などがあり、絞扼(循環障害) 腸重積症、そけいヘルニア嵌頓、イレウス、腸回転異常症(中腸軸捻転、内ヘルニア)、卵巣茎捻転などが含まれます。炎症は急性虫垂炎、膵炎、胆のう炎など です。

診断

腹部超音波検査やCTなどで、急性腹症の原因を診断することが可能です。しかし、内ヘルニアによる絞扼性腸閉塞(イレウス)のように、手術前の診断が困難で、手術で初めて診断が可能になる場合もあります。 原因不明の腹痛や嘔吐、下血などがみられたら早期に小児科医、小児外科医の診察を受けてください。