腹壁形成異常・原因
先天性の腹壁形成異常には、臍帯ヘルニアと腹壁破裂があります。臍帯ヘルニアは4,000出生に1例、腹壁破裂は6,000から10,000出生に1例の頻度といわれています。近年、腹壁破裂の頻度が増加しているともいわれています。腹壁異常が発生する機序についてはいくつかの説がありますが、原因は不明です。いずれも遺伝性の疾患とは考えられていませんが、ごく稀に家族性にみられたとの報告があります。臍帯ヘルニアでは10%から40%に染色体の異常をともなうことがあります。出生前に診断された場合には産科・小児科・小児外科・麻酔科などのチームにより綿密な治療計画を立て、母体とあかちゃんの治療を行います。
臍帯ヘルニア
臍帯ヘルニアではヘルニアのタイプ(型)、大きさ、脱出臓器、合併疾患などにより治療方法が選択されます。図は、肝臓と腸管が脱出した大きな臍帯ヘルニアで、このような場合にはヘルニア全体を人工膜でつつみ、赤ちゃんの呼吸、循環に無理のないように脱出臓器を徐々に腹腔内にもどす方法が選択されます。
腹壁破裂
多くの場合、腸管が臍帯(へその緒)の右側にある腹壁欠損孔から体外(羊水中)に脱出しています。腹壁破裂では臍帯ヘルニアに比べて、腸管を腹腔内に戻しやすく、したがって出生直後に緊急手術を行い、臓器腸管を腹腔内へ戻します。図は、胎児超音波検査で出生前診断された腹壁破裂の超音波像です。羊水中に浮かんでいる腸管が描出されています。