東日本大震災

2011.04.05

1月24日に1回目のコラムを書いてから、だいぶ日にちが経ってしまいました。それまでに色々なことがありました。
しかし、3月11日で全てがリセットされてしまいました。夢であって欲しいと思います。

東北関東を襲ったマグニチュード9.0という未だかつて日本人が経験したことのない大地震と大津波は真実でした。1万人を超える犠牲者の方々、言葉もありません。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

東北地震の当日はちょうど診療中でした。待合に多くの患者さんがいらっしゃいました。大きな揺れに動揺されていましたが、パニックに陥らず怪我もなく無事でした。
震災の日から、テレビでは一日中三陸の大津波の映像が流れ、さらに原発事故の報道。交通機関はマヒし、都内はもちろん、埼玉県でも多くの帰宅難民が出ました。深夜までタクシー待ちをしたり、歩いて何時間もかけて帰宅した方も多いと思います。その後に計画停電と続き、本当に大多数の方々は普通の生活に戻れず閉塞感の中で過ごしていらっしゃると思います。

私自身も、直接大きな被害に遭ったわけではないのに、何かをしようとしてもぼんやりしていました。地震酔いというのがあることを初めて経験しました。
このような中、甲子園で東北高校野球部が被災地のボランティアをぎりぎりまでしながら元気に出場し、Jリーグのチャリティー試合なども開催、多くの募金活動が活発に始まるなど、日本人の心の中に、互いを思いやる心のともし火がワット燃え上がってくるのを感じます。

被災を受けた人々は、本当に辛く厳しい状況にも関わらず互いに助け合っています。頭が下がります。この災害は、第2次世界大戦後日本人が経験する、最大の危機的状況だと思いますが、それだけに今ほどマイナス思考でなく自分にできることを実行することが、誰かのためになる・生かせる時でもあると思います。
外来にいらっしゃる患者さん全員に「3月11日の状況とその後の生活について」聞いています。思いがけない災害の直後の不安、そしてしばらく経過したのちの気持ちの変化など知ることにより、心の医療を行っている者として、これから何が患者さんの為に必要で、何をすべきか?検討します。また、被災地の子どもたちの心のケアに関して、小児心身医学会を通じて派遣医師の登録をしました。被災地のインフラが整った後の時期になると思いますが、自分のできることをしたいと考えています。

最後に、昨日のニュースで被災地の方が「がんぼろう、日本!じゃなくて、私らは、頑張ってるぞ被災地!だよ」と笑顔でおっしゃるのを見て、東北人の芯の強さに逆に勇気づけられました。

(作田 亮一)